あきりんの映画生活

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「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」 (2022年) 人類の進化についての黙想してみようか

2022年 108分 カナダ・ギリシャ合作 
監督:デビッド・クローネンバーグ
出演:ビゴ・モーテンセン、 レア・セドゥ、 クリステン・スチュワート

グロテスクなSF。 ★★★☆

 

初期には気持ちの悪いクリーチャーの創造で評価を受けていたデビッド・クローネンバーグ監督。
一時は「ヒストリー・オブ・バイオレンス」とか「イースタン・プロミス」といった”まともな”映画も作って、その方面でも評価を受けていた。
本作は、どちらかと言えば初期の作風を思わせるものだった。

 

近未来。人類は(進化をして?)痛みを感じない肉体となっていた。
ソール(ビゴ・モーテンセン)は、自分の体の中に新たな臓器ができてくる病気を抱えていた。
彼のパートナーのカプリース(レア・セドゥ)は特殊な機械を操り、その臓器に入れ墨を施して摘出するというショーをおこなっていた。
これがこの時代のアートなのだよ。

 

臓器摘出の手術場面、そして人類に初めて登場する新たな臓器。
手術に用いる機械もグロテスクで、その操作盤も感触がぞっとするような形態をしている。
機械なのにガマガエルみたいにぶにゅぶにゅした感じで、実に気味が悪いのだ。
クローネンバーグ監督らしい奇妙奇天烈な世界が展開される。
こういったものが好きな人にはたまらないだろうな。

 

ヒロイン役のレア・セドゥは不思議な雰囲気を持った女優さんである。
「アデル、ブルーは熱い色」のような、いわゆる問題作に登場したかと思うと、「ミッション・インポッシブル」や「007」でヒロインを演じたりもする。
カンヌ映画祭では、同映画祭史上初となる出演女優としてのパルム・ドール受賞を果たしてもいる。
なんか、いつもつまらなさそうな表情をしているのだが、並ではないね。

 

さて。
この映画は果てしなく荒廃の道をたどる人類に問題提起をしているようでもある。
映画の冒頭には、プラスチックを食べる子共があらわれる。
その子を恐ろしがった母親は殺害してしまう。
この辺りは廃棄物による環境汚染や、マイクロプラスチックの問題と、その果てにあらわれる”人類の進化”を連想させる。

 

印象的だったのは、ソールが使う”朝食用椅子”(ポスターの写真です)。
なんだこれは?!といった形状で、がたがたと不規則に動いて朝食を食べるのを助けているのか邪魔しているのか判らない。
なんだこれは?

 

体内の臓器に昂奮したり、”進化した”セックスだったり、マゾヒズムに奇食と、超変態映画といっていい内容だった。
だが、その超変態に美意識があるのである。
それを美しい俳優たちが平然と演じている。並の映画ではないね。