
1972年 91分 西ドイツ
監督:ベルナー・ヘルツォーク
出演:クラウス・キンスキー
(普通ではない)探検隊もの。 ★★★
冒頭はかなりの人数の探検隊が急斜面の峠を越えていくシーンである。
時は16世紀で、アマゾン奥地の黄金郷、いわゆるエルドラドを目指したスペイン探検隊の物語である。
しかし監督はベルナー・ヘルツォークなので、探検とか冒険と言うロマンとはまったく無縁の、人間の狂気を描いた作品となっている。
主演はもちろん怪優クラウス・キンスキーである。
探検隊は40人の先遣隊による調査を行うこととする。
調査隊の副隊長アギーレ(クラウス・キンスキー)はエルドラドを信じ、いつか南米に自分の王国を持つことを夢見る男だった。
この夢からしてすでに狂人じみているが、演じているのがキンスキーだから、ああ、本当にそう思っているのだろうなと思わされる。
一行は激しい濁流の川下りをおこない、食人種である原住民の襲撃にも遭う。
兵士と奴隷が少しずつ失なわれていく。
常識人の隊長はこれ以上の探索は無理だと判断して戻ろうとする。
しかし副隊長のアギーレはあくまでも黄金を夢見ており、部下を扇動して隊長を撃ち殺す。そして、先遣隊に随行していた貴族(!)を自分たちの国の「皇帝」に祭りあげる。
なんだ、こりゃ。無茶苦茶しおるな。
探検隊には、なんとまだ少女のあどけなさを残すアギーレの娘も同行している。
アギーレは自分たちの国を作り上げたら、なんと娘と結婚して純粋な王国を作るつもりだったのだ。
なんだ、こりゃ。完全に**っているぜ。
という具合に、この映画は常識的なものを次々と排除していってるようなところがある。
だから、普通ではない違和感が次第に残されてくる。
普通の密林探検冒険物語にあるような、感動とか驚愕とかといった観客に寄り添う姿勢はほとんどない。
そのあたりがヘルツォーク監督たるゆえんであり、この映画をカルト映画にしているわけだ。
次々に死んでゆく仲間の前でアギーレは「俺こそが怒れる神だ!」と叫ぶ。
そのアギーレの足元には夥しい数の野生の猿しかいないのだ。
ただただ欲に釣られて内輪もめや暴挙に走り自滅する人たちの物語だった。
もう面白いとか面白くないとかを超越してしまった次元である。
もう、すごいっ!としか感想が出てこない映画だった。
本作は1972年のものだが、2005年にタイム誌が選んだ「歴代映画ベスト100」で見事に選出されています。