あきりんの映画生活

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「さよならをもう一度」 (1961年)

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1961年 アメリカ 120分 
監督:アナトール・リトヴァク
出演:イングリッド・バーグマン、 アンソニー・パーキンス、 イブ・モンタン

中年女性と青年の恋物語。 ★★☆

原作はフランソソワーズ・サガンの「ブラームスはお好き」。ちなみに、私は高校生の頃にサガンを読みあさっていた(笑)。
サガンの小説の登場人物は、基本的には経済的な問題を抱えていない人ばかり。
生活的には裕福なのだが、束の間の愛も含めて、愛するが故に孤独な人たちばかり。

データを見るとアメリカ映画となっているのだが、舞台がパリであることもあって、雰囲気はフランス映画そのもの。

会社重役のロジェ(イヴ・モンタン)とインテリア・デザイナーのポーラ(イングリッド・バーグマン)は、ともに離婚経験を持つ者同士で、大人の恋人関係。
結婚に踏み切れないそんな関係にポーラはむなしさも感じている。
そんな二人の前に現れた青年フィリップ(アンソニー・パーキンス)が、ポーラに恋をしてしまう。

フィリップは15歳も年上のポーラに一目惚れしてしまうのだが、とにかく世間知らずの、マザコンの、ダメダメ青年。
前半の彼のひどいストーカーぶりは、もう見ていて腹立たしくなるほど。
(もうちょっとで例のサイコ野郎になるのではないかと思うくらい。ちなみに、あのヒッチコックの「サイコ」はこの映画の前年の作品である)。

まあ、それだけパーキンスの演技がすごいと言うことなのだろう。この映画で彼はカンヌ国際映画祭男優賞を受賞しているとのこと。

少しふっくらとしたバーグマンは、やっぱりきれいだった。
何度もながれるブラームス交響曲の哀愁をおびた旋律が、よく似合っていた。

イヴ・モンタンも中年男の渋さを遺憾なく発揮していた。
ポ-ラを愛していながらも平気で他の女性と浮気旅行に出かける、そのくせ、うわべは平静を装いながら若いフィリップには激しい嫉妬心を燃やす、そんな身勝手な男を演じていた。
副業(?)なのに味のある俳優だよなあ。

ロジェとの関係のむなしさからフィリップを愛したローラだったが、それも一時の幻影にすぎないことを感じて、フィリップの前から去ろうとする。
中年の独身女性(それこそアラフォーの)が観たら、最後のヒロインの叫び、「私はもう歳をとってしまったわ (I'm old!, I'm old!)」が、微妙かもしれない。

エンディングでは、オープニングとまったく同じ状況が映し出されて、やりきれない倦怠感を漂わせている。
いかにもサガンらしい物語でした。