あきりんの映画生活

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「ガス灯」  (1944年)

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1944年 アメリカ 114分
監督:ジョージ・キューカー
出演:イングリッド・バーグマン、 ジョゼフ・コットン、 シャルル・ボワイエ

三大スター競演のサスペンス。 ★★★

霧ふかいロンドンの街をガス灯が照らしていた時代のサスペンス。
霧の中から次第に現れてくる人影とか、馬車をひく馬の石畳を走る音とか、舞台もそれだけで幻想的です。

有名な声楽家だった叔母が何者かに殺されて、ロンドンを離れていたポーラ(イングリッド・バーグマン)は、愛する夫グレゴリー(シャルル・ボワイエ)と結ばれて因縁の家へ戻ってきます。
しかし、その家に戻るように仕向けたのは夫グレゴリー。
観ている者はグレゴリーが何かの企みを持っているなと、すぐに分かります。

そして、グレゴリーは妻を愛するふりを装いながら、ポーラを精神的にねちねちと苛めていきます。
ポーラはグレゴリーのそんな画策を疑うこともせずに、自分が精神的におかしくなったのではないかと、おのれを責めます。
このあたりはポーラが気の毒で、本当にグレゴリーが憎たらしく思えます。
それだけ上手く物語が作られているということでしょう。

早くから犯人は判っているし、「ガス灯」の謎もすぐに観ている者には判ります。
途中から登場するキャメロン警部(ジョゼフ・コットン)の活躍で謎は解かれ、犯人も捕まるのですが、この映画はその分かっている過程を、情感と共に楽しむというものです。

(野暮なツッコミ)
よく考えれば、グレゴリーはポーラと無理に結婚なんかしなくても、空き家だったあの家に好きなだけ入り込んであるものを探せばよかったのでは?
あ、そうか、空き家だとガスが止められていて真っ暗だったんだ。

ということで、ストーリーを面白くするための設定にはちょっと無理なところもありますが、あまりそれを言うのは野暮というもの。
あの時代の雰囲気も楽しんで観る映画です。

モノクロで見るイングリッド・バーグマンは美しく、「カサブランカ」の2年後のこの作品でアカデミー主演女優賞を取っています。