2004年 アメリカ 129分
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:トム・ハンクス、 キャサリン・ゼタ・ジョーンズ
ユーモアを交えたヒューマン・ドラマ。 ★★★
東欧クラコウジアからJFK空港にやって来たナボルスキー(トム・ハンクス)は、渡航中にクーデターが起こり祖国が消滅したために、パスポートが無効になってしまう。
無国籍者になってしまった彼は、アメリカに入国することもできず、帰国することもできない。
彼は、空港で生活することを余儀なくされる。
まわりに物質も人もあふれているのに、ナボルスキーはお金がないために物質を手に入れられない。
言葉もわからないので、人との交流もできない。
この映画は、いわば現代社会における漂流記のようなもの。
都会のジャングルでのアドベンチャー物語、とでも言えばよいのだろうか。
空港の中だけ、という限られた空間での物語だが(舞台の空港はセットだとのこと)、さすがスピルバーグと言うべきか、展開に工夫をしていて、まったく飽きさせない。
この現代社会で生きていくためにはお金と言葉が必要なのだが、それ以上に必要なものは他人に対する温かい心なのだろう。
そして、ナボルスキーはそれを持っていた。
彼はお金も言葉もない状態から、お金を手に入れる方法を学び、空港で働く人々との交流から空港の中だけでの生活を続けていく。
ヤギの薬のエピソ-ドも見ていて気持ちの良いものであった。
しかし、ストーリーに花を添えようとしたのだろうけれど、ゼタ・ジョーンズとのエピソードは空回りしてしまった気がした。
変に恋模様にしない方がよかったのでは?
それに気になったのは、モップ飛行機止めでナボルスキーに協力してくれたインド人のおじいさん。
彼はあれからどうなってしまったのだろう?
最後の方で、ベニー・ゴルソン本人が出演して、自分で作曲したスタンダードの「キラー・ジョー」を演奏していた。
彼のファンとしては、せっかくだから、もう少し長く演奏を聴かせて欲しかったぞ。
家族で観て楽しめる映画です。
(一カ所だけ、ゼタ・ジョーンズがアブナイ発言をしていましたが(笑))。