2002年 アメリカ 138分
監督:キャスリン・ビグロー
出演:ハリソン・フォード、 リーアム・ニーソン
事故を起こした原子力潜水艦もの。 ★★☆
試運転航海にでかけたソ連の新型原子力潜水艦K-19は、実績を上げたいという野望を抱いた艦長(ハリソン・フォード)の命令で過酷な訓練をおこなう。
圧潰深度ぎりぎりまで潜ってみたり、氷海に浮上してみたり。
ハリソン・フォードはわりと憎たらしい役回り。それに反して、常に部下をかばう副艦長のリーアム・ニーソンは人情派。
まだ技術も未熟な原子炉担当将校や、副艦長に心酔している古参兵など、乗組員もよく描かれている。
やがてあまりの無理がたたったのか、原子炉の冷却装置に亀裂が生じてしまう。
炉心の温度が上昇し始めて、原子炉爆発の危機が迫る。さあ、どうする。
言ってみれば、閉じられた狭い空間でのパニックもの。それも並大抵のパニックではない。
なんとかして修理しなければならないが、そのためには誰かが原子炉区画の中に入らなければならない。しかし、まともな防護服もない。
悲惨である。
誰かが修理に向かわなければ全員が死んでしまうばかりか、放射能汚染が海域に広がってしまう。しかし、修理のために原子炉区画の中に入ることは死ぬことを意味することは、誰もがわかっている。
他の人を助けるために自分が死ぬべきか、それとも誰かが身を捨ててくれるのを待つのか。
このような局面に立たされたときに人はどのように行動するのだろう。自分だったらどうするだろう?
実際におこった事故をもとにした物語であるとのこと。
とてつもないパワーを有するエネルギー源でありながら、それ故に制御が困難でもある原子力というものについて、改めて考えさせられる映画であった。
爽快な映画ではありませんでした。