1968年 アメリカ 110分
監督:ジャック・スマイト
出演:ポール・ニューマン、 シルバ・コシナ
コメディ風味の脱走もの。 ★★☆
第二次大戦末期、連合軍の准将5名がイタリア軍の捕虜となる。しかし、彼らの幽閉場所は美しい未亡人(シルバ・コシナ)が住む大邸宅であり、美味しい食事などの破格のもてなしに脱走する気概もなくしてしまう。
そこで業を煮やした連合軍司令部は、脱走常習犯の二等兵ハリー(ポール・ニューマン)を少将と偽って、彼らの脱走救出に向かわせる。
脱走がテーマなのなのだが、あのスティーブ・マックイーンの「大脱走」とは大違い。
一応、戦時が舞台なのだが、戦争ものという重苦しい要素は全くない(戦争映画なのに、作中で一人も死なない)。
単に舞台設定として収容所とか、捕虜とか、軍人の階級制度とか、そんなものを利用しているだけ。まったくのエンターテイメント作品。
だから、”戦争”はそんなものじゃない、”戦争”をそんな風に扱うな、という考えの人には向いていない作品である。
とにかく登場人物は、後半に出てくる意地の悪いドイツ軍将校を除いては、みな他愛もなくお人好し。
捕虜となった各国の准将5人はプライドばかり高くて、子どもっぽいものだから、相談事ひとつもまとまらない有り様。
さらに、彼らを幽閉しているイタリア軍大尉は元ホテルマンということで、捕虜たちにいかに満足してもらえるかということに腐心するというお人好し。こちらも笑わせてくれる。
ホント、どこで戦争をしているんじゃい?という雰囲気。
そんな有り様だから、救出に乗り込んできたはずのハリーも、すぐに美しい未亡人に魅せられて、脱走計画をそっちのけにしてしまう。
本当は二等兵で教養もなにもないハリーが、精一杯見栄を張ったりするところが可愛い。
そんな彼の素性を見抜きながら、なに食わぬ風で助けてくれる未亡人がいい雰囲気。
一番脱走率が低い収容所を管理したということでイタリア軍大尉が表彰されるというところが愉快。なるほどねえ。
さらに彼のために脱走の計画を延期したところからお話は急展開する。おやおや。
後半はかなり真面目風な展開となる(それでもヌルイんですが)。
シルバ・コシナがきれいで、雰囲気はゆるゆるで、気楽に楽しめる作品です。
なお音楽は、イタリアの映画音楽の一時代を築いたカルロ・ルスティケリ。
彼の作曲で好きだったのは、「鉄道員」「刑事」「禁じられた恋の島」「ブーベの恋人」「誘惑されて捨てられて」。どれも、良かったなあ。