1997年 アメリカ 127分
監督:リュック・ベッソン
出演:ブルース・ウイリス、 ミラ・ジョボビッチ、 クリス・タッカー
SFアクションもの。 ★★★☆
宇宙の彼方から悪の塊である巨大なエネルギー物体が地球に近づいてくる。
この悪に対抗するためには、火、土、水、風の力を持つ4つの石が必要であった。
さらに5番目の力も必要だったのだが、その力は謎の美少女リールー(ミラ・ジョボビッチ)に託されていたのだ。
「ニキータ」や「レオン」で高い評価を受けたリュック・ベッソンが、ハリウッドへ渡って駄目になったといわれた作品。
しかし、これ、ぜんぜん駄目ではない。充分に好いじゃないの。
ベッソンは娯楽作品を作るのが好きなのだろうと思う。
彼がプロデュースする作品は「TAXI」だし「トランスポーター」だし、「ヤマカシ」だし「96時間」である。
いつまでもも「ニキータ」でもないだろうから、これはこれでよいのではないだろうか。
未来都市の造形はすばらしい。
フランスのコミック作家エンキ・ビラルの影響が大きいということは最近知った。
(彼が監督として撮った「ゴッド・ディーバ」の未来世界も素晴らしかった)。
「ブレードランナー」の世界と共に、やはり魅力的だ。
導入部から前半はとてもスピーディに話が進み、コミカルな味付けも随所にあって、引き込まれていく。
コーベン(ブルース・ウィリス)は、母親に頭が上がらないしがないタクシー(もちろん、空中タクシーです)の運転手。
しかし、元海兵隊員かなんかで本当は強い、というヒーローにぴったりだった。
謎の美少女リールーは格闘技も結構強い。
後年の「バイオハザード」のヒロインの萌芽があるではないか(笑)。
ジョボビッチはこの作品で抜擢されて、このあとベッソン監督の「ジャンヌダルク」にも出ることになった。
しかし、最初のオーディションでは落とされたのだそうだ。へえぇ。
お姉言葉のクリス・タッカーはやたらにうるさい。
とても濃い感じで、最初はうざったいと思える。
しかし、コーベンと一緒に銃撃戦の中を右往左往しているうちに、だんだんと人間味が感じられるようになってきた。
こいつはこいつで、ありか。
途中の宇宙船へ舞台が移るあたりで、ちょっともたついた感じがある。
タッカーがうざいのもこのあたりである。
しかし、そこを通り過ぎると、お待ちかねのアクション場面の連続となり、おお、よくなってきたぞ。
クライマックスとなり、肝心の最後の5番目のエレメントは、さすがにちょっと、えっ?と思えてしまう。
コーベンがリールーにある言葉を言いさえすればその力が発揮されるのだが、いくらなんでも少女漫画的過ぎるのではないの。
でも、ジョボビッチの涙がきれいだったから、もう認めてしまおう。
ということで、ベッソンに妙な”芸術性”を求めなければ、充分な娯楽作品となっています。
ジョボビッチを抜擢したというだけで、もう大したものです。