1975年 日本 155分
監督:山本薩夫
出演:仲代達也、 宇野重吉、 三国連太郎、 髙橋悦史、 山本学
政財界の暗部を描く社会派ドラマ。 ★★☆
ダム建設にからむ利権をめぐって、政財界の黒幕達が策謀の限りを尽くす。
実際にあった九頭竜ダム入札事件(1964年)を題材にして石川達三が書いた小説を映画化している(てっきり原作は山崎豊子かと思っていたら、違っていた)。
大勢の政財界の人物達が登場するが、基本的にみな悪人である。賄賂や収賄、権力の奪い合い、それに色事もからんでくる。
大部分の登場人物には実在のモデルがいる。
寺田首相は池田隼人だし、酒井首相は佐藤栄作といった具合。田中角栄も出てくる(俳優の顔つきも似せているし、仕草も特徴を捉えているので、思わず笑えてくる)。
ダム工事の入札を争った建設会社のモデルは、間組と鹿島建設とのこと。
嫌みなエリート官房長官(仲代達也)が陰謀を画策し、それに対抗して甘い汁を吸おうとする金融業者(宇野重吉)の対立を主軸にして、話はどこまでもどす黒くすすむ。
事件をすっぱ抜こうとした業界紙記者が殺されたり(これも本当にあったとのこと)、策謀がばれそうになった時に官僚が自殺したり(これも本当にあった)。
あまりにも皆が悪人なので、見ているこちらの感覚も麻痺してしまいそうなほど。
長丁場のドラマだが、全く飽きることはなく見せてくれる。
しかし、これらの悪人のモデルがわが国の実権を握っていた人たちだったというのは、あまりにも情けない話である。
事業仕分けをしたり、それに官僚が反対したりしているが、こういった利権に絡む悪の構図というのは今の政財界にもあるのだろうな。
善良な一般市民は何も知らないで、せっせと税金を納めている・・・(悲)。
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