あきりんの映画生活

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「ゼロの焦点」 (2009年)

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2009年 日本
監督:犬童一心
出演:広末涼子、 中谷美紀、 木村多江

松本清張原作の推理もの。 ★★

戦後復興期の日本が舞台であり、その映像が私の年代の者にとってはどこかなつかしい。
当時の街並みを再現し、東京から金沢へ行く蒸気機関車の映像など、かなりの制作費用をかけたのだろう。

たしか中学生の頃だったが、隣家のおじさんが推理小説好きで、そのおじさんに松本清張の本をよく借りては読んでいた。
「点と線」にはじまり、「眼の壁」や「蒼い描点」、そしてこの「ゼロの焦点」など、面白くてむさぼるように読んだことを覚えている。
情けないことに物語はすっかり忘れてしまっていた。しかし、映画の宣伝も大々的だったので、少なからぬ期待で観た。

感想は・・・う~ん、残念。
主演の広末涼子は嫌いではないのだが、こういった重い運命とじっとりと向かい合う役柄にはあまり向いていないように思えた。
終始、かすかに眉をひそめて、薄い唇の両端を吊り上げている表情ばかりだった。

実際に一番魅せてくれたのは中谷美紀だった。女性解放運動に情熱的になる理由も十分に納得させてくれたし、強さも感じさせてくれた
それに第三の人物ながら、薄幸の木村多江が好演だった。

不満は・・・沢山ある(悲)。

(以下ネタバレ気味)

中谷美紀木村多江の二人が決定的な行為に出る終盤での場面。
中谷美紀があんなに車のライトをつけっぱなしにしておくか? 周囲から丸見えだぞ。ライトを消すだろう、普通。
それに木村多江が自ら選んだ行為の瞬間。いくらなんでもあれはないだろう! 二人ともまるで漫画のポーズだったぞ!

最終的には事件の案内役だった(だから、決して主人公ではないのだ)広末涼子が謎を解いていくのだが、この展開があまりにもお粗末。
えっ、なんでそんなにすらすらと謎を解いてしまうの? 
明智小五郎だって、ホームズだって、ポアロだって、そんなに証拠も手がかりもなしの推理だけで謎は解けないぞ。

おまけにもうひとつ。加賀丈史はなんであんな無意味な行為に出たんだ? まるっきり訳が分からんぞ。

ということで、TVの2時間サスペンス・ドラマを越えるものではなかったなあ。
ところで、この映画のポスター(上の写真)だが、3人とも赤いコートを着ている。まさか、犯人を判らなくするため?(笑)

ちなみに、波しぶきの上がる断崖の上で犯人を糾弾するというサスペンス・ドラマでのおなじみパターンは、この「ゼロの焦点」(オリジナル版)が先駆けだったとのこと。

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