2005年 アメリカ
監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:アンソニー・ホプキンス
オタク爺さんの奮闘記。 ★★★☆
とにかく古いオートバイの改造に人生の大半をつぎ込んで、世界最速記録に挑んだお爺さんの話。
主人公のバートを演じたアンソニー・ホプキンスが素晴らしい。
ニュージーランドの田舎に住むバートは、”インディアン・スカウト”という珍妙な格好のバイク(ほとんどうつ伏せ状態でまたがって運転する!)の改造を40年もしている。
そんな彼の夢は、遠い遠いアメリカのボンヌヴィル(そこは塩の平原でライダーにとっては聖地らしい)での大会に出場して、世界記録に挑戦すること。
これは男の子の映画でしょう。バートは少年がそのまま歳を取った”不良爺さん”という感じ。
ジョシには、この少年が夢を追うという生き方はわからないんじゃないかなあ(失礼)。
家族もなく、頑固で、バイクの改造以外には何も興味がないバート。
頑固だけれども、どこか憎めない人柄をホプキンスが好演。その一本気なところが周囲の人に愛される所以にもなってる。
肉体的な衰えも感じたバートは、ボンヌヴィルまで出かけて走れるのはもう今のうちしかないと考え、すべてを投げ打って渡航費を捻出する。
そして、貨物船でコックのアルバイトをしながらアメリカへ向かう。
世間の常識に疎いバートは、アメリカへ着いてからは、いかがわしい(?)モーテルに泊まったり、中古車を値切って買ってバイクを牽引しながらボンヌヴィルをめざす。
バートの率直で真剣なところに、旅で知り合う人たちも引き込まれてしまう。
くり返しになるけれど、ホプキンスが良いんだなあ。とても恐ろしい**博士と同じ人物とは思えない(笑)。
中古屋のおやじ、モーテルのフロントのゲイ、年老いたインディアン、珍妙な老嬢、そしてレース会場で知り合う人たち。みんないい人である。
会場に到着してみると、集まってきている車はピカピカの最新型の車ばかり。
そこに、誰も本物なんて見たこともないような伝説の旧式バイクがくるものだから、みんなはじめは馬鹿にする。
あんなバイクは危険だから走らせられない、という人、どうせ80kmしか出ないんだから走らせてやれよ、という人。
しかし、いざ試走をして、みんなびっくりしてしまう。
「トップ・ギアの加速はすごかったよ」、「いや、調子が悪くて、あれはセカンド・ギアからは上げられなかったんだ」
調子がよければどうだったんだ、と思わせて、こんなところがわくわくさせてくれる。
バイクの調子はもう一つよくない。さあ、本番でのバートの挑戦はどうなったのか?
ここは本当に手に汗握るという感じで見てしまった。おおっ!
これは気持ちよく見ることができる作品でした。特にダンシにお勧めの映画です。
実話を元にしているということで、びっくり。
でも、良い少年はあんな改造バイクに乗ってはいけませんよ。
(余談)
私は、タイトルからは、馬に乗ったインディアンが走る映画かと思っていました(笑)