1965年 アメリカ 145分
監督:ロバート・アルドリッチ
出演:ジェームス・スチュアート、 リチャード・アッテンボロー、
ハーディ・クリューガー、 ジョージ・ケネディ
砂漠からの脱出劇。 ★★★
砂嵐に巻き込まれて砂漠に不時着した男たちが、反目や協力をしながら脱出するまでを描く。
2004年に「フライト・オブ・フェニックス」のタイトルでリメイク版が作られている。
いろいろな作品のリメイク版が必ずしもオリジナルより劣るとは思ってはいないのだが、この作品に関しては、オリジナル版の方が格段に良かった。
遭難したのは機長、副機長をはじめとして、石油発掘会社の作業員たち、謎の技術屋、それに軍人が二人。
作品に重厚感を与えていた一番のポイントは、人物描写が生きていたことだろう。
極限状態に置かれた男たちはごつごつした感じで、皆が長所も持っているが欠点も抱えている。
機長役のスチュアートにしても、度量の大きなリーダーとして描かれるのではなく、自分の失敗を悔やんでみたり、妙なプライドにこだわってみたりするような、欠点を抱えた人間として描かれている。
副操縦士を演じたリチャード・アッテンボローがまた好かった。
酒飲みでどこか頼りないのに、要所要所でスチュアートに意見したりで、好人物としての存在感があった。
リメイク版で駄目だったのは、物語がきれいすぎて温和しすぎたところ。
どう考えても砂漠からのその生還は無理だろうというような状況でも、助かってしまう。もちろん、別に人が死ねばいいというものではないのだが。
オリジナルの方がきつい。その分、だれるところもなかった。
飛行機設計士のハーディ・クリューガーの提案で、男たちはフェニックス号という飛行機を作りはじめる。
壊れた飛行機の部品を寄せあつめて、やっと飛べるだけの飛行機を作ろうというのである。
これは面白いよなあ。
クリューガーが、途中では精神的におかしくなったのではないかというような所も見せて、一途な技術屋で好かった。
彼には、実は、という秘密があったのだが、彼自身がそれを秘密にすることだとも思っていないところが、実に良かった(何を言っているのか、これは観た人にしかわからないことだな)。
砂漠での暮らしが長くなるにつれて、人々の顔面も火傷状態となってぼろぼろになってくる。リアリティがある。
やっと飛行機ができあがるのだが、エンジン始動に必要な火薬は限られている。
果たして上手くエンジンはかかるのか、飛びたてるのか? 見ている方も、それこそ、飛べっ!フェニックス! である。
よくできたエンターテイメント作品でした。
「フライト・オブ・フェニックス」でがっかりした人は、ぜひこちらを観ましょう。