1968年 フランス 115分
監督:ジャン・エルマン
出演:アラン・ドロン、 チャールズ・ブロンソン、 ブリジッド・フォッセー
男の友情を描くサスペンス。 ★★★★
ああ、これはなんと言ったらいいのか、もう、言葉で伝えるものはない、そんな風に好きな作品である。
アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソン、この二人が、それぞれの魅力を引き立てている。
そして全編に流れる男同士の意地とそこから生まれる友情。それは最後の場面(伝説の名場面!)で最高潮となる。う~む・・・。
アルジェリアから帰還した軍医ドロンは、広告会社の女から、黙って持ち出した債券を会社の地下金庫に戻して欲しいという奇妙な依頼を受ける。
ドロンと同じ時に帰還した傭兵のブロンソンは、金儲けの匂いをかぎつけ、強引にドロンと一緒に会社の地下へ潜入する。
脚本がセバスチャン・ジャプリソなので、妙なところでストーリーをひねっているところがあり、話の全貌が見えてくるまでは、あれ?と思う部分もあるが、いかにも彼らしい。
少し腺病質な感じの女性像や、彼女の名前がワーテルローだったりするのは、この映画のあとの「雨の訪問者」のヒロイン、メランンコリー・モーに通じるものがある。
(ちなみに、この映画の脚本はジャプリソ自身が小説化している。)
週末の2日間を地下室に閉じ込められた二人は、お互いを出し抜こうとして扉を閉めてしまったり、食料を隠したりする。
繊細な感じのドロンと、どこまでもふてぶてしいブロンソンが、好対照で、そのやりとりは飽きさせない。
狭い閉じられた空間での展開だが、よく練られた脚本である。さすが。
やがて、二人は誰かが仕掛けた罠にはめられたことを知る。
ついには飲み物や酸素までもが乏しくなっていく極限状態となり、生き延びるために二人は次第に協力し合うようになる。
この展開もわざとらしさがなくて、反発する部分を残しながらも、いかにも自然に二人の気持ちが通じ合うところがなんとも言えすに好い。
長いクリスマスの週末が過ぎ、閉ざされていた会社の扉が開く。
観ている方もほっとするような瞬間である。
そしてここから、ドラマが大きく動く。謎だらけだった事柄はいったい何だったのだ?
(以下、肝腎の場面のネタバレ。やっぱり書きたい)
警察は会社の地下にいた二人が共犯だったことをなんとか明らかにしようとする。
二人はあくまでも相手を知らないとしらを切る。
いきなり二人に顔合わせをさせて、知り合いだったという証拠を掴もうとする警察。
煙草をくわえたブロンソンが手錠姿で連行されてくる。
廊下に佇んでいるドロン。
ドロンが無言でマッチをする。
何も言わずにその火でタバコをつけるブロンソン。
ブロンソンを見つめるドロン。
まったくそしらぬ風をするブロンソン。
通り過ぎたブロンソンの背後でドロンが大声で叫ぶ。
その叫びはブロンソンの口癖だった。
陳腐な言い方ではあるが、男の友情に女はいらねえ、う~む、マンダム!
もう、何を言っているのか、判る人にしか判らないレビューでした。