監督:メナン・ヤボ
出演:サンドラ・ブロック
タイム・スリップもの。 ★★★
ある日、夫のジムが交通事故死したと告げられるリンダ(サンドラ・ブロック)。
2人の娘と悲しみにくれるのだったが、翌朝目ざめると、そこには元気なジムが何事もなかったようにいた。
しかしその翌日になると、今度はジムの葬儀が行われようとしていた。
あれ? これは夢?
日にちがばらばらになる映画だと聞いていたので、もっと混乱するかと思いながら見はじめたのだが、心配したほどではなかった。
混乱することで映画を楽しめる、という作り方をしてくれている。
ヒロイン自身も混乱を整理するためにカレンダーを作成するし・・・。ヒロインと一緒に混乱していればいいのだ。
日にちがばらばらになって訪れる、ということなのだが、リンダが一定の法則に従ってタイム・スリップしている、という風に取ればいいのだろう。
アイデアとしてはとても面白い。
娘の顔の怪我はいつ、どうしてついたのか、という疑問や、電話に残されていたメッセージがいつ、どんな意味で吹き込まれたのか、という疑問などがちりばめられている。
物語がすすむにつれて、ああ、これはそういうことだったのか、と納得していくのは、充分に楽しめるものになっていた。
特に電話のメッセージの真相にはうなった。
でも、突っ込みどころも沢山ある。
大体がリンダよ、君の家では新聞を取っていないのかね? 朝、ニュースを見るためにTVは点けないのかね?
一晩ぐらい徹夜して起きていてみようとは思わなかったのかね?
水曜日の朝ぐらい、目覚まし時計をかけろよ(笑)。
えーっと、観ている方もどうだったけかなと思うことはある。
たとえば、娘が怪我をしたガラス戸にリンダがシールを貼っていた場面があった。
娘はシールを貼っていないガラス戸にぶつかって怪我をしたわけだが、するとガラス戸は割れてしまってシールは貼れなかったと思うのだが・・・?
あれ? あの怪我をしたのは何曜日だった?
怪我をした時にジムがリンダを責めたのだから、ジムはまだ生きていたはず。
それなのに、木曜日の朝に娘の顔に怪我はなかったよなあ? おっかしいぞ!
ま、いいっか(笑)。
ラブ・コメではないので、サンドラ・ブロックもシリアス系の演技。
きりりとした感じで、いつもより美人に見えたぐらい。
結末はネタバレになるのであまり詳しくはかけないが、タイム・スリップものの醍醐味、すなわち過去あるいは未来に介入したらどうなるのか?という点をついている。
しかし、あの結末はちょっとすっきりしなかったなあ。
(ネタバレ)
ええい、やっぱり書いてしまおう。
リンダはジムが水曜日に死ぬという未来を知っていた。
リンダはそれを何とか防ごうとして現在に介入し、皮肉にもその介入の結果としてジムが死んでしまったわけだ。
リンダが未来を知らなくて(未来にタイムスリップしていなくて)、現在に介入しなければ、当然ジムはあそこで車をUターンさせなかったわけで、そうならジムは交通事故に遭わなかったことになる。
リンダが余計なことをしなければ、ジムは死なない。
とすると、ヒロインが未来を知ってあの行動をするということは、もう必然のこととして決まっていたわけか。
でなければ、多次元宇宙のように未来が分かれていくのか?
こんなことを考えさせてくれるので、タイムスリップものは面白い。
この映画の評価はそれほど高くないようだが、余り突っ込まなければ、面白かったと思うのです。