2008年 オーストラリア 165分
監督:バズ・ラーマン
出演:ニコール・キッドマン、 ヒュー・ジャックマン
歴史恋愛もの。 ★★★☆
第二次世界大戦に入ろうとするオーストラリアを舞台にした歴史物。
物語としてはとりとめがなく、全体としては破綻していると言ってもいいぐらい。
しかし、あまりにも強引に話がつづいていくので、3時間近い長尺であるが、かえって飽きることはなかった。
サラ(ニコール・キッドマン)は、音信不通となった夫を訪ねてイギリスからオーストラリアへやってくる。
ドローヴァー(牛追い)という名の無骨なカウボーイ(ニュー・ジャックマン)と一緒にやっとたどりついた領地は荒れ果てており、夫は謎の事故死をしていた。
と、まあこれが始まりである。
領地を守るために、1500頭の牛を遠い港まで送り届けるというのが前半の山場で、要するに西部劇である。
そこにインディアンならぬアポリジニの問題を絡めている。
オーストラリアの歴史は、移植してきたヨーロッパ人がアポリジニを迫害してきた歴史であることは周知のことだが、この映画ではそのあたりをなんとなくぼかしてしまっていた。
この映画のみどころは、都会育ちの貴族であるサラが、荒々しい未開の風土のなかで、過酷な状態に戸惑いながらもたくましく対応していくところ。
その間に、最初は反目していたサラとドローヴァーのあいだに淡い気持ちが芽生え始めるといった具合。
ぶじに軍港まで牛を届けることができて、これで終わりかと思ったら、なんと同じぐらいの長さの後半があった。
後半は日本がオーストラリアに侵攻してくる戦争物となる。
日本軍がオーストラリアの軍港を爆撃したのは事実だが、実際には上陸したことはなかったようだ。
フィクションと考えればよいのだろうが、知らない人は本当に日本軍はオースストラリアへ上陸までしたのかと思ってしまうよな。それって、どうよ?
ニコール・キッドマンは、凛として、少しツンとした高飛車なイメージもあるのだが、時代の波に洗われながら生き抜いていく強い女性像をよく演じていた。
ヒュー・ジャックマンも、粗野だけれども一本気な男を演じて、私の中での好感度アップであった。
それにしても、最初にも書いたが、物語はとりとめがない。
オーストラリアを舞台にしていろいろな要素をぶち込んでみました、とでもいった感じで、洗練された映画とは言い難い。
しかし、少年時代に読んだ冒険活劇もののような感覚で観れば、充分に楽しめる内容ではあった。