1988年 日本 113分
監督:滝田洋二郎
出演:鹿賀丈史、 桃井かおり、 柄本明、 清水ミチコ
ブラック・コメディ。 ★★★
守銭奴一家のドタバタ物語り。
木村一家はとにかくひたすらお金を貯めることに一生懸命である。その方法は奇抜で、ここまでやるかといった呆気にとられるものまである。
たとえば、一家全員で仕出し弁当をづくって配達する、近所の老人を使っての新聞配達(配達部数に応じて数十円から百円ぐらいのお小遣いをあげる)、妻(桃井かおり)の色っぽいモーニングコール・サービス、夫(鹿賀丈史)の通勤ついでの乗り合いタクシー業、などなど。
よう、やるなあ。
結構、感心するようなアイデアも盛り込まれている。
鹿賀丈史と桃井かおりが、金儲けに執着することは恥ずかしいことではない、むしろ楽しいことだと割り切っている様子が、かえってさっぱりしていて小気味よい。
ただ、長男の小学生・太郎だけは、そんな金儲けに執着する家族に疑問を持ち始める。
さらに、子どものいない親戚夫婦が、木村家の人々は異常だと考えて、太郎を養子にしたいと言い始める。
さあ、家族の絆はどうなる?
息子にお金儲けは嫌だと言われた父は、今度は必死になってベル・マークを集め始める。笑える。
笑えるのだが、なんとなく我が身を振りかえさせられる。
なんとなく自分の中にもあのお父さんのような部分があるのではないかなと思ってしまう。
そんな作り方が巧みである。
ブラックな笑いで、一家の人物は極端な行動にはしるけれども、決して悪人ではない。
だから、どろどろとした人間の嫌なところを見せられるような深刻なところはない。
むしろ、観ているうちに、守銭奴一家がなんとなく愛すべき一家のように思えてくる。
一生懸命だからだろうな。
良い出来の映画でした。