1974年 アメリカ 165分
監督:ジョン・ギラーミン
出演:ポール・ニューマン、 スティーブ・マックィーン、
ウイリアム・ホールデン、 フェイ・ダナウェイ
高層ビル火災のパニックもの。 ★★★☆
地上135階の超高層ビルが完成して、その落成パーティが開かれている最中に、手抜き工事が原因の火災が発生してしまう。
火事は消し止められるのか、最上階に取り残された大勢の人たちは助けられるのか。
豪華客船が転覆する「ポセイドン・アドベンチャー」とならぶパニック映画の2大名作(と、勝手に私が決めている)のひとつ。
パーティ会場では華やかな宴がつづいているのに、別の箇所では火の手がどんどんと広がっているという、まるで大都会の危険を縮図にしたような光景が印象的だった。
そして、火災で膨張した熱気で高層ビルの窓ガラスが内側からバーンと砕け散り、そこから炎が吹き出す。
これもすさまじい映像だった。
CGも未だそれほど充分な技術ではなかっただろうに、よくぞこの映像を、と感心する。
パニック映画は、もちろんその事故や天変地異の迫力がなければ面白くない。
しかし、それと同じくらいに、そのパニックに遭遇してしまった人たちが魅力的に描かれていないと、面白さは半減する。
この映画でも、火災の起きたビルに居合わせた人々、そして救出に駆けつけた消防士たちが、それぞれの人間として描かれていて、映画を薄っぺらでないものにしていた。
消防隊隊長に扮するスティブ・マックィーンが、きびきびとした動きを見せて、身の危険を顧みない活躍をする。格好良い。
ビルの設計者であるポール・ニューマンも、いつもどおりのちょっとにやけ男気味ではあるのだけれども、マックィーンに負けじと活躍する。
この二人の息が合うところが観ていても気持ちよい。
他の出演者も、それぞれに個性がきちんと描きわけられていて、そのあたりがB級のパニック映画とは本質的に違うところ。
ゴージャスな雰囲気のフェイ・ダナウェイも、あの衣装で他の人の救出に頑張るのだから立派。この映画で彼女を見なおしてしまった。
この映画でも議員だったロバート・ボーン(映画「ブリット」では、マックィーンに意地悪をする嫌みな議員役だった)は、いい人なんだか、悪賢い人なんだか、ちょっと中途半端。
展望エレベーターを使っての脱出の試み、階段を使っての脱出の試み、ヘリコプターを使っての脱出の試み、リフトを使っての脱出の試み、そして最後の無謀な一大試み。
パニック映画ならでの、これでもかという展開がつづき、3時間近い長尺だが、飽きることは全くない。
さすが。
(余談)
今見なおしても充分に楽しめる作品だった。
でも、昔に観たときは、もっと、もっとすごかった印象があった。
35年の間に、あまりにも派手な作りの映画に慣らされてしまって、私の感性が鈍ってしまったのだろうか。
ちょっと自分が情けないぞ。