あきりんの映画生活

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「彼女の恋からわかること」 (2002年)

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2002年 アメリカ 96分
監督:ロドリア・ガルシア
出演:ラダ・ミッチェル、 アリシア・ウィット、 デボラ・アンガー、 キャシー・ベイカ

10人の女性が語るオムニバス映画。 ★★☆

「彼女を見ればわかること」のロドリゴ・ガルシア監督の第2作ということで、少なからず期待して観る。
前作はどこか孤独な女性を描いたオムニバス形式の映画だとのことだが、これも10の短い話を集めたオムニバスもの。

しかも、そのどの逸話もそれぞれ一人の女優がカメラに向かって話しをするだけ。
そういう撮り方の映画だということをあらかじめ知っていたので、よかった。
そうでなければ、なんだ?こりゃ?と思うところだった。

映画のタイトルは「彼女たちの恋~」となっているが、彼女たちが語るのはもっと直接的なセックスについてである。
自分の人生に影響を及ぼしたようなセックス体験を語っているのである。
必ずしも望んだようなセックスではなかったこともあり、そこまであからさまに語るのか、という部分もあるが、それだけ重い体験だったということが伝わってくる。

映像は、とにかくカメラに向かって語る一人の女性だけ。
それが延々と続くだけなので、飽きてしまいそうにも思うところだが、そんなことはなかった。
台詞だけなので、かえってイメージが広がる。
この台詞も脚本通りなのだろうけれども、しゃべりの間の取り方、ちょっとした手の表情など、まるで女優が自分自身の経験を語っているのではないかと思わせるほど。
役者ってすごいものだ。

印象的だった逸話をいくつか。
第2話は処女を喪失したときの話。
自分が傷つくのを見ていたという意識だったと。女性というのは、男には理解できない感情を隠し持っているものだ。
そして、死んだママの夢を見たという。ママと2000年の元日を一緒に迎えようと約束したと。
何の脈絡もないようなことを思い出しているところが、なんか、すごいなあと思わせる。

第3話は、黒人女性が紹介されたラテン男と初デートをしたときの話。
期待がふくらんで前夜にはカラスの夢や手をしつこく洗っている夢を見たという。
そして実際にあった男には、とても侮辱的な扱いを受けてしまう。これもなんかすごい話。

第9話。4年間結婚していた夫とのことを語る。
結婚して1カ月後に夫を育ててくれた義姉が死ぬ。なぜ、そんなことを語るんだ、と訝しく思わせるが、そのことが夫との結婚生活に影を落としたようなのだ。
そんな夫は、夫婦でのオーガニズムの一致を大事にしていたと。

華やかな部分はまったくない映画です。あらかじめ了解しておきましょう。
本当のインタビューをみているように錯覚してしまいます。
なにか、しみじみしてきます。