日本 1975年 152分
監督:佐藤純也
出演:高倉健、 宇津井健、 千葉真一、 丹波哲郎
東映の作ったパニック映画。 ★★★
任侠映画が専門(?)だった東映が作ったということで、かなり話題にはなった作品。
設定自体も、新幹線に仕掛けられた爆薬は時速80km以下になると爆発するというもので、斬新だった。
(キアヌ・リーブズとサンドラ・ブロックの「スピード」は、この映画を参考にしているのではないだろうか?)
だから、新幹線はどこにも止まることが出来ず、国鉄(今のJR)と警察は、新幹線が終着駅の博多に到着する前に解決しなくては、というタイムリミットも背負っている。
爆薬を仕掛けお金を要求する犯人は高倉健、山本圭ら3人。
主犯が健さんだから、この映画の特徴として、犯人側の人物描写もていねいで、それなりに感情移入できるようになっている。
犯人であることがバレテしまって国外脱出を謀った空港では、健さんをなんとか逃がしてやりたいと思ってしまうほど。
さすが、”男の哀愁”健さんだけのことはある。
さて、犯人と交渉を続けながら、なんとか新幹線を窮地から救おうとするのが国鉄の宇津井健。直情熱血漢という感じを好演。
彼からの指令をもらいながら新幹線を運転するのが千葉真一。若い!
そのほかにも志村喬、永井智雄、丹波哲郎、田中邦衛など、豪華顔ぶれの勢揃い。
国鉄の協力を得られなかったということで、模型を使っての撮影など、今から見ればあまりにもチープさが目立つ場面も少なくない。
しかし、作られた時代を考えればこれはなんとも致し方のないところ。
速度を落とせない新幹線なので駅に停車できない。で、先行する新幹線を待避させないといけない。どうする?
車両に仕掛けられた爆薬をなんとか見つけたい。どうする?
展開はスピーディで飽きさせない。
大いなる不満を一つ。
爆弾を見つけ、いよいよ起爆装置の解除の時に、赤、青の線を切断するのだが、時間に追われているばかりで緊張感が全くなかった。
ほら、あの「ジャガーノート」の名場面のように、赤?それとも青?どちらを切ればいいんだ?という緊張感が欲しかったなあ。
昔、場末の映画館ではこういった邦画を3本だてで上映していた。期末試験が終わると観に行ったものだった。
初めて観たときはものすごく面白かった記憶がある。
こういうものこそ、今のCG技術を使ってリメイクしてみたらどうだろう。
なんや、「スピード」のパクリか、と言われてしまうのだろうか。
いやいや、こちらが本家なのですよ。