あきりんの映画生活

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「12モンキーズ」 (1995年)

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1995年 アメリカ 130分
監督:テリー・ギリアム
出演:ブルーズ・ウイリス、 マデリーン・ストウ、 ブラッド・ピット

タイム・トラベルSF。 ★★★☆

監督がテリー・ギリアムなので、特有の奇妙な味わいがある。
近未来の世界の囚人コール(ブルース・ウィリス)は、特別の任務を与えられてタイム・トラベルをするのだが、どうにも、精神的に重く、暗い。

謎のウィルスにより全人類の大半が死滅してしまった近未来。
科学者たちは、なんとかそのウィルス疾患の治療法を探したいと、一人の囚人を過去へと送り出す。手がかりは“12モンキーズ”という謎の言葉のみ。

同じギリアム監督の「未来世紀ブラジル」はブラック・コメディという感じだったが、この映画はブラック・サスペンス。謎が (観ている者にも(笑)) いっぱいである。
どちらにも共通しているのは、狂気が漂っていること。

コールはウィルス疾患が蔓延する直前の時代に送られるはずだったのだが、手違いで違う時代にたどりついてしまう。
常軌を逸した言動をするというので、コールは精神病院に入れられてしまう。
そこで出会うのがジェフ(ブラッド・ピット)。

このジェフが狂気の典型の人物。ブラッド・ピットが熱演している。ある意味、主人公のブルース・ウィリスを食ってしまっている。
指を変な形に伸ばして、両腕を振りながら意味不明なことを叫びまくる姿は、キレてしまっている。上手い。

タイムマシンで送られる時代が違ったということで近未来に呼び戻されたコールは、また違う世時代に出かける。
時空を何度も行き来するので、最初は戸惑うが、すぐに話の流れは掴めてくる。
そして次第に謎めいていた人物たちの物語上での役割が明らかになってくる。
前の時代ではこういう行動をしていた人物が、やがてはこういう行動をしたので、未来ではこういうことになったんだ、という風に。

回想として何度もあらわれる空港での銃撃戦の場面がある。
あの場面にいたのは誰なんだ?
あの叫んでいた人物は、いったい誰だったんだ?
そして、あの場面の出来事は何を意味していたんだ?

その謎が最後にカタンとパズルの小片が組み合わさるように嵌め込まれる。

結局のところ、”12モンキーズ”の意味なんて・・・、過去を変えようとする試みなんて・・・。
空港の場面の映像が余韻を残す。
しかし、映画全体の伝えてくるものには空しさが漂っていた。
やはりギリアム調なのか・・・。