2006年 アメリカ 100分
監督:ジョナサン・デイトン&バレリー・ファリス
出演:グレッグ・キニア、 トニ・コレット、 アビゲイル・ブレスリン
家族のロード・ムービー。 ★★★☆
どこか情けない人ばかりが集まっている家族。
本人はそれぞれ真剣で一生懸命なのだけれども、傍目には”負け組”と思える人ばかり。
そんな家族がへんてこ旅行をしていく内にほのぼのとしてくる、という気持ちが暖かくなる映画。
リストラされて破産状態のお父さん(グレッグ・キニア)を筆頭に、まともな食事も作れないお母さん(トニ・コレット)、世界中のみんなを憎んでいるというだんまり兄ちゃん、ヤク中の不良爺さん(アラン・アーキン)、そこに転がり込んできたのは自殺未遂をしたばかりのゲイの伯父さん。
多少なりともまともなのは9歳の妹オリーブ(アビゲイル・ブレスリン)だけ。
そのオリーブが美少女コンテストの予選に通り、訳あり家族が一家総出でおんぼろバンで旅をすることになる。
まあ、この旅が騒動の連続。
バンはだんだん壊れていくし、エロ不良爺さんにも大変なことが起きる。
しかし、旅を続けていく間に、変な家族だったけれども、次第に好い奴じゃないかと思えてくる。
だんまり兄ちゃんは頑なな夢が破れることによって、かえって家族に心を開く。
自殺志望の伯父さんも、兄ちゃんと気持ちを通い合わせるし、きっともう自殺しようとは思わないだろうな。
それに何と言っても、ぽっこりお腹で大きな眼鏡のアビゲイル・ブレスリンが、掛け値なしに可愛い。
この子って、「幸せのレシピ」や「私の中のあなた」でも良い感じだった。
さて肝心の美少女コンテストだが、これはもう不気味のひと言。
しばらく前に全米を騒がせたジョン・ベネ事件というのがあったが、あの不気味さを思いだしてしまった。
そんな中でオリーヴが披露した爺さん直伝の特技とは!
不良爺さん、やっちゃってくれたねえ。呆気にとられたよ(笑)。
最後までみんなで協力して押さないと動かない黄色いワーゲンのバン。
それがこの旅を象徴しているのだろう。
美少女コンテストそのものは馬鹿馬鹿しくてなんの意味もなかったけれど、家族にとっては、はるばるやってきた甲斐はあったわけだ。
関係ないけれど、コンテスト会場でちょこっと出てきたのは、「24」のクロエ・オブライエンだった?
小粒な感じですが(もともとはサンダンス映画祭で上映されたとのこと)、予想以上に、観て得したと思える作品でした。
調べてみると、東京映画祭でアビゲイル・ブレスリンが」女優賞を、アカデミー賞でアラン・アーキンが助演男優賞を獲っていました。