あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「ナイロビの蜂」 (2005年)

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イギリス 2005年 128分
監督:フェルナンド・メイレレス
出演:レイフ・ファインズ、 レイチェル・ワイズ、 ビル・ナイ

アフリカを舞台にした社会派サスペンス。 ★★☆

ケニアのナイロビに駐在している外交官ジャスティン(レイフ・ファインズ)は、園芸を趣味としている穏やかな人物。一方、恋愛結婚で結ばれた妻テッサ(レイチェル・ワイズ)は、社会的な正義感が強い女闘士という性格。
ある日、ジープで出かけたテッサはテロにあって殺されてしまう。

ケニアの貧しさが映像で映し出される。
スラム街ではエイズで死んでいく人たちが後を絶たない。
外交官はケニアにあっては特権階級なのだが、テッサはスラム街にでかけ、貧しい人たちの生活を助けようとしていた。
回想のように映像の時間軸が前後するが、あらわれるのは亡くなったテッサと生きているテッサなので、戸惑うことはない。

というか、生きていた頃のテッサの場面が挟み込まれることによって、テッサがいなくなってしまった今が、より強く表現されている。
そんな妻を失ったジャスティンは、妻がおこなっていた社会的な活動の軌跡を辿ろうとする。
観客も、ジャスティンがたどっていくのと同じ視点で、テッサの隠されていた部分を知っていくことになる。
すると、単なる事故と思われていた妻の死の背後に、巨大な悪が潜んでいたことが少しずつ明らかになってくる。

社会悪を見過ごすことのできなかったテッサの生き方も、よく判る。
そんな現実に眼を背けようとしていた夫なのだが、そんな夫を愛するがゆえにいろいろなことを隠していたことも判ってくる。
そんな彼女の気持ちを、ジャスティンもあらためて理解していく。

この残された夫がレイフ・ファインズではなくて、リーアム・ニーソン・パパだったり、スティーブン・セガール親父だったら、もっとバシバシと悪人をやっつけただろうね。
お前ら、許さん! 正義は俺にある! なんて。
と、真面目な映画を茶化してしまいました。ごめんなさい。

夫婦愛を横軸に、組織悪に対抗する個人の正義感を縦軸にして、映画は真剣に作られている。
それにしても、大企業の権力の前で、なんと個人の力のか弱いことか。
巨大組織は姿をあらわすこともなく、邪魔になる個人を平気で抹殺するわけだ。恐ろしい。

いろいろと考えさせられてしまう作品でした。

(余談)
大きなお腹の妊娠姿のレイチェル・ワイズが出てきますが、このときレイチェルは実際に妊娠していたのだそうです。