あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「薔薇のスタビスキー」 (1973年)

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1973年 フランス 118分
監督:アラン・レネ
出演:ジャン・ポール・ベルモンド、 シャルル・ボワイエ

詐欺男の顛末。 ★★☆

スタビスキーというのは1930年代に実際にいた詐欺師の名前とのこと。
詐欺師とはいっても街角にたむろするチンピラではなく、政財界の大物とも手を組んだ華々しい詐欺師。
彼の事件はフランスでは誰もが知っているような大疑獄事件だったらしい。そのために政府まで倒れたらしい。
(我が国で言えば、ロッキード事件のようなもの?)

映画は、J.P.ベルモンドが扮するスタビスキーの優雅な生活ぶり、各方面での画策を描く。
なにしろ公爵(シャルル・ボワイエ)と組んで模造宝石を担保にして無価値の公債を発行し、劇場を手に入れ、銀行を買収し、新聞社まで牛耳ろうとする。
並の詐欺師ではない。

その背景となる時代も大きく動いている。
スターリンとの権力闘争に敗れたトロッキーがロシアからフランスに亡命してきて、スペインではフランコ政権に対抗する人民戦線が闘っている。
ヨーロッパが大きく揺れている時代だったのだな。

そんな中での徒花のような虚飾の繁栄。上流社会での騙しあい。
スタビスキーを一途に愛する妻をアニー・デュプレーが演じているのだが、妖気さえ漂ってくるようなものすごい美しさである。
ベルモンドはつねに胸元に薔薇の花を挿しているという伊達男ぶり。

映画は、華麗な彼の野望を支えていた詐欺行為が第に破綻していき、最期を迎えるまでを描いている
しかし、物語の展開はところどころで時間軸が入り乱れている。
(なにせ、監督はあの「去年マリエンバートで」のアラン・レネだし・・・)
フランス人ほどこの事件のことを知っているわけではないので、かなり判りにくいぞ。

スタビスキーの死の場面がいきなりあらわれたかと思うと、そのあとに次第に追い詰められていくスタビスキーの様子がつながったりする。
あるいは、事件が終結したあとの関係者の供述が挟み込まれたりする。
一瞬、彼はいつのことを話しているのだと戸惑ってしまう。

ということで、決してつまらないわけではなかったのだけれども、どうも、とりとめがあったような、なかったような・・・(苦笑)。
私が伝記物を苦手としているせいもあるかもしれない。