監督：森淳一
出演：加藤亮、 岡田将生、 小日向文世、 鈴木京香
兄弟にまつわるサスペンス。 ★★★
空からハルが降ってきた、という印象的な泉水（いずみ）の独白で映画ははじまる。
実はそれは弟の春（はる）のことで、彼は義憤に駆られて野球バット片手にワルをやっつけたのだった。
幼い頃に父親が買ってくれたこの野球バットが、一貫して上手い小道具として登場する。
泉水と春は、あまり似たところがないもののとても仲がよい兄弟。
泉水は遺伝子を研究する大学院生だが、春は街中で落書き消しの仕事をしている。
そんな彼らが暮らす街で放火事件が連続して起きる。しかもその現場付近には必ずアートっぽい落書きが残されていた。その意味するところは？
伊坂幸太郎の原作なので、現実感よりも物語性を重視した作りとなっている。
たとえば、あの状況で夫婦が下す決断がはたして現実問題としてあり得るかどうか。
でも、物語の骨格を作るために、夫婦はあの選択をしたとしている。現実的ではない。
映画（小説）として、それはアリなのだろう。
だからそれを受け入れられない人にとっては、この物語は絵空事でつまらないということになる。
それはそれで仕方がないことだろう。
そのような設定での主人公たちがどんどんと物語をすすめていく。
えっ、あの放火魔は・・・そうだったのか！
それでは一体どうなってしまうのだ？
ひとり、とても憎たらしい人物が登場します。
あの人物を許す人は誰もいないでしょう。しかし、その人物をどうすればよかったのか。映画の解決でよかったのかどうか。
見終わってほっとしたのは確かなのですが。
父親役の小日向文世が良い味を出していました。
