2005年 日本 103分
監督:園子温
出演:田中哲司、 オダギリ・ジョー、 夏生ゆうな
青春もの? ★★
今、一番気になる邦画の作り手、園子温監督の2005年作品。
「恋の罪」を観た余勢で、いざ、鑑賞。
一人の若者の不格好な現実と奇妙な夢が絡まりあいながら、どこまでも走り続けていくような、そんな映画。
性病に罹ったさえない役者、鈴木(田中哲司)は、誰からうつされたのかと疑心暗鬼になり、同棲中のタエコや浮気相手のランコと喧嘩別れをしてしまう。
疲れ果てた眠りの中では、鈴木は撃たれて血まみれのテロリストになっていた。
別の夢では、鈴木は父親に似た刑事に執拗に尋問を受けていた。
どこまでが脚本で、どこからがアドリブなのか、まったく区別がつかないぐらい自然体の出演者たち。
好く言えば、本音がそのまま画面に切りとられた映画、悪く言えば、稚拙な画面構成に物語構成の映画、ということになる。
園監督らしい手持ちカメラの画面は気の向くままにぶれるし、怒鳴るような台詞はときにとても青臭く感じられる。
「愛のむきだし」以後、「冷たい熱帯魚」「恋の罪」「ヒミズ」と立て続けに問題作を作っている園監督だが、この作品は、未だもう一つ、という感がぬぐいきれなかった。
たしかに、やりたいことをぐいぐいとやっている、という力強さは感じる。
しかし、まだ作品として充分に昇華されていなかった。
井上陽水の「夢の中へ」にのって、どこまでも走り続ける主人公は、果たして夢の中へたどり着けたのか、それとも、いつまでも走り続けるしかなかったのか?
かって流行ったアングラ映画(ほめ言葉であると同時に、けなし言葉でもあったなあ・・・)を思い出していました。