あきりんの映画生活

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「史上最大の作戦」 (1962年)

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1962年 アメリカ 178分
監督:ケン・アナキン、 他
出演:ジョン・ウェイン、 ヘンリー・フォンダ、 リチャード・バートン、 ロバート・ミッチャム 

戦争大作。 ★★★★

戦争映画に対する考えにはいろいろなものがあるだろう。
近年はシリアスな捉え方のものでなければ受け入れられない風潮となっているが、かっては”娯楽映画”としての戦争映画も作られていた。
そういったことを考え合わせても、この映画は戦争映画のひとつの在り方を極めている。

誰もが知っている「Dデイ」の長い長い1日を描いている。
どこに、いつ、連合軍は上陸作戦をおこなうのか。
連合軍側の準備、それに敗戦の色が日ごとに濃くなっているドイツ軍の判断、油断、怖れなども描かれていて、序盤から中盤の上陸前夜にかけても面白く観ることができた。

欧州戦線を描いた戦争映画としては、そのとらえ方で「プライベート・ライアン」などの対極に位置するもの。
しかし、いくら”娯楽映画”として撮ったとしても、兵士がただの”将棋の駒”として使い捨てにされる様は突きつけられてくる。
作戦の不手際から無意味に撃ち殺されていくパラシュート部隊の兵士。
文字通りに累々とした屍が築かれるのを承知の上でのノルマディー海岸での、物量に頼った上陸戦。
人間ですら、単に物量でみられるもの、となってしまっている。

モノクロ映像でCGもない時代だから、リアルに血が流れたり、傷ついた兵士の肉体が映し出されるということはほとんどない。
それでも、これが戦争なのだなあと思わされる。

と、なにやかにやと言っても、3時間近い長尺をまったく飽きさせないでみせてくれる力を持った作品である。
もちろん出演俳優陣は半端ではないし、膨大な数のエキストラ動員による映画自体のスケールも大きい。
一度は観ておいてよい映画だろうと思う。

追記:
パリは燃えているか」は、同じDデイにいたるあたりを、主にフランス・レジスタンスの視点から描いていて、これも傑作だった。
(どちらの映画にもヒトラーの姿は一度も映らなかった。)