あきりんの映画生活

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「鉄男」 (1989年)

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1989年 日本 69分
監督:塚本晋也
出演:田口トモロヲ、 塚本晋也、 藤原京

サイバー・ホラー? ★★★☆

手持ちカメラで撮られたモノクロの粗い画像。
時間も70分ほどと短い。実験的な映画といえるだろう。
監督自身と出演者(藤原京)が、交代でカメラを廻したとか。

観る人によって評価は大きく変わるに違いない。
ハマル人は飽きるほどくり返し見るだろうし、駄目な人は開始10分で見るのを止めようと思うかもしれない。

ストーリーはあるのだか、ないのだか・・・。
鉄を身体に埋め込もうとした男A(塚本晋也)は、男B(田口トモロヲ)に車で轢かれてしまう。
その男Aの恨みからか、男Bは奇妙な鉄女に襲われたり (この鉄女がとても怖い)、自分の身体から鉄が生えてくる。

男Bは最初から最後まで、ああああぁ、とか、うげぇ、とか、ひぃひぃ、とか、うぎゃあ、とか叫ぶばかり。
セリフらしいセリフは途中で1箇所だけ、鉄が身体の中から生えてきたときに、恋人(藤原京)に、見ないでくれ、と言うところだけ。
その時に恋人が、大概のことには驚かないから大丈夫、見せて、とくり返すところが奇妙に面白い。
結局、男Bのペニスは巨大なドリルとなり、そのために恋人(藤原京)は死んでしまう。
何という展開だ。

私は気がつかなかったが、誰かの感想ではデヴィッド・リンチの「イレイザー・ヘッド」を思い出させる、というものもあった。なるほど。
悪夢のような嫌みな映像が、これでもかと突きつけられてくる。
しかし、力のある映像であることは間違いない。
無秩序にからみ合う金属の醜悪なもののなかに生まれてくる美しさを求めているようだ。

後半になると、もはやストーリーなどはどうでもよくなってくる。
復活した男Aは、かかってこいや、と挑発し、鉄の塊となった男Bと死闘を繰り広げる。
挙げ句の果てに二人は合体してしまい、世界征服を目指すのである!!!

完成度はともかくとして、自主制作(なのだろうな)の作品として、金属フェチを全面に展開した力業が強力な印象を残す。
鉄男シリーズはこのあとには通常の(?)映画として2本が撮られている。
悪夢探偵」や「六月の蛇」 (これは傑作だった) の塚本晋也監督のデビュー作です。