2011年 アメリカ 112分
監督:ジョー・ライト
出演:シアーシャ・ローナン、 ケイト・ブランシェット、 エリック・バナ
殺人マシーン少女もの。 ★★☆
無邪気そうに見える少女が実は凄い殺人マシーンだった、というのは、近年では「キック・アス」 。
(かっての名作では「ニキータ」というのがあったけれど、あれとはリアルさの点でかなり雰囲気が違う。)
今回のヒロインは、無邪気なのだけれども、思慮深くどこか寂しげ。
そこが一番の魅力となっている。
雪深い山中で父 (エリック・バナ) にあらゆる戦闘テクニックを教え続けられてきたハンナ (シアーシャ・ローナン)。
この父娘にどんな過去があったのだ?
ついに旅立ちの日が来る。母を殺したCIA捜査官マリッサ (ケイト・ブランシェット) と対決するのだ!
父の忠告は、“彼女に殺されるか、お前が殺すかだ”。
「ラブリーボーン」 の子が非情な格闘をくり広げるというところが魅せる。
敵にわざと捕らえられたハンナが、あっという間に相手を倒すところは呆気にとられる程の早業。やるなあ。
冒頭で雪山の中でヘラジカの猟をする。そのときにハンナが呟く台詞、「心臓を外しちゃった・・・」
倒した相手への哀れみがあるのだが、相手を倒すことへの逡巡はない。
この決然とした態度にまずは圧倒される。
これはラストに効果的に生かされていた。
ということで、アクションは充分に楽しめたのだ。だが、意味の判らないことが多すぎる(苦笑)。
父は何故ハンナ一人を残して旅立たなければならなかったのか。よく判らん。
ハンナとグリムの家で落ち合うことにどんな意味があったのか。よく判らん。
ハンナが旅先で出逢い、心を許す姉弟との交流はほっとするものだった。
それだけ普段のハンナの精神は緊張を強いられているものだったわけだ。
世間と隔絶された日々を送ってきたハンナが、おどおどと初めて見聞きする、そして体験する様は健気だった。
決してつまらない映画ではない。
しかし、何か訴えてくるものがあるかと言われると、かなり厳しい答えになってしまう。
ジョー・ライト監督、アクション映画に必要なスパイスの効きがもうひとつ足りなかったような・・・。