あきりんの映画生活

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「パーマネント野ばら」 (2010年)

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2010年 日本 100分
監督:吉田大八
出演:菅野美穂、 夏木マリ、 江口洋介、 小池栄子、 宇崎竜堂

寂しい女たちのドラマ。 ★★★☆

舞台は漁師町(言葉づかいからすると高知県?)の美容院、“パーマネント野ばら”。
そこを切り盛りしている母(夏木マリ)のところへ、なおこ(菅野美穂)は一人娘を連れて出戻っている。
なおこは、その町で高校教師のカシマ(江口洋介)との恋を密かに育んでいた。

原作は西原理恵子のコミックとのこと。
道理で、素朴に見える町の人達なのにその関心事は男と女のことばかり。
女性たちの生き甲斐も幸せの鍵も、全部男にかかっている。みんな寂しいのだろう。

なおこも結婚生活に失敗したけれども、母親のこれまでの男遍歴も相当なものだったよう。
なおこはそれを見て育ってきたのだから、トラウマはたくさん抱えていたのだろうと思える。
某新聞で読んだ西原理恵子の自伝エッセイに依れば、彼女自身の人生も凄惨なものだったらしい。
なるほど、彼女が原作なら登場人物はこんな風になるわけだな。

なおこの幼なじみ(小池栄子池脇千鶴)も男運が悪い。
浮気ばかりしていたり、暴力をふるったり、ギャンブル好きだったり・・・、どの男も見ていて腹立たしい男ばかり。
そんな男たちに振り回されてばかりの、このふたりがとても好い。
小池は派手な服装でのフィリピン・パブのママ役。エキセントリックに男に向かう。
池脇は農協の事務員のような地味な服装で冴えない眼鏡姿。男運の悪さをあきらめて受け入れている。
このふたりの存在が、なおこの寂しさを引き立たせている。

こうして、田舎町で逆境になってもめげずにたくましく生きていく女たちを、あっけらかんと描いていく映画・・・かと思っていたら・・・。

最後近くになって、ドラマはその全貌を見せる。
これにはやられた(涙)。
そして、なおこの幼なじみのふたりが、やはり好い。
その生き方はどちらもまともじゃないだろ、と思ってしまっていたふたりが、優しくなおこを受け止めてくれている(再び涙)。

予想外に好い映画でした。
吉田大八監督、「クヒオ大佐」よりもずっと好かったですよ。やるなあ。