1999年 香港 93分
監督:ジングル・マ
出演:リッチー・レン、 セシリア・チャン
ファンタジー・ラブ・ストーリー。 ★★★
この作品も、つい先日観た「ラブリー・ボーン」と同じように、亡くなった人がこの世の人と交流する作品。
不慮の事故で亡くなった青年が、5日間だけ他の人の身体を借りて地上へ戻ることを赦される、というもの。
病院で働く青年オニオン(リッチー・レン)は、子どもの頃の事故のために見ることも話すこともできない。
しかし障害に負けずに明るく前向きに生きていた彼は、優しく接してくれる看護婦オータム(セシリア・チャン)への密かな想いを抱いていた。
オータムもまたオニオンに好意以上のものを抱いていたのだが、お互いにそのことを告げることはなかった。
どこかで見たような設定だし、実際に物語もベタといっていいほど素直に展開されていく。
舞台は、オータムの部屋やプールがあったりもするのだけれども、病院のなかだけ。
登場人物も主役の二人の他には数人出てくるだけ。
とてもシンプル。
そして主役の二人が実に素朴。
このシンプルさ、素朴さが、一歩間違えばありきたりになってしまう作品を上手く救っている。
なんとなく好いのである。
無駄な飾りなし、無駄なひねりなし。
死んだオニオンは違う外見となってオータムの前に現れる。
自分の素性を明かすことは禁じられている。でも・・・。
オニオンの日記は1頁だけ書かれていた。
だから他人だったらオニオンのことはその1頁に書かれている以上のことは知らないはずなのに・・・。
そして、オータムのためにオニオンが秘かに吹いていたサキソフォンのエピソード・・・。
ネットでの感想を見ると、号泣したというものが少なくない。
さすがに私の年齢になると、すでに涙は枯れ果てているので号泣することはなかったが・・・。
そういえば、浅田次郎原作の邦画に「椿山課長の七日間」というのがあった。
あの映画の主人公も、死んだ後に3日間だけ現世に戻ることを許されるのだった。
主演の西田敏行が絶世の美女の身体に乗り移ったりして(自分の身体になった豊満な胸にうっとりしたりして)、なかなか面白かった印象がある。
と、脱線。こちらはお笑いはありません。
素直な気持ちで鑑賞する映画です。