2011年 128分
監督:トーマス・アルブレッドソン
出演:ゲイリー・オールドマン、 コリン・ファース、 ジョン・ハート
重厚なスパイもの。 ★★★☆
まったくアクションなしのスパイもの。
タイトルにある”サーカス”は(曲技団ではなくて)、英国情報部のこと。
ただし、007は在籍していないようだ(笑)。MI6とどう違うのだろう?
英国諜報部”サーカス”のメンバーの中にソ連の二重スパイ“もぐら”がいるとの情報が入る。
一度は引退した老スパイ、スマイリー(ゲイリー・オールドマン)に、“もぐら”を突き止めろという極秘の指令が下る。
容疑者は4人の幹部、“ティンカー”、“テイラー”、“ソルジャー”、“プアマン”(この符号が原題にもなっている)。
誰が二重スパイなのだ?
とにかくわかりにくい映画。
大勢の登場人物を把握するのにも一苦労する。
それに、今起きている事件なのか、過去の事件の回想場面なのか、何の説明もなしに映し出されるものだから、今の情勢はどうなっているんだ?と、戸惑うことにもなる。
DVD鑑賞だったので、実際に何度か前に戻りながら鑑賞した(汗)。
しかし、一度判りはじめれば、重厚な雰囲気で描かれるスパイ世界は魅力的である。
落ち着いた色調、大写しされる意味ありげな小道具。悪くない。
舞台は70年代ということで、タイプライターや古い電話が出てくる。
コンピューターや携帯電話などがない時代の落ち着き具合が、なんとなく懐かしく格好良く見えてくる。
寡黙で沈鬱なオールドマンも渋い。好い味を出している。
スパイの孤独感が全体から漂ってくる。こんなに好い俳優だったのかと再認識したほど。
映画には登場しないのだが家を出ていったスマイリーの奥さんの影があり、ソ連の大物スパイ、カーラという人物も影を落とす。
謎を解いたからといって、表社会では何の陽の目も見ない功績でしかない。
影から影へ、それがスパイの宿命。
(007みたいに意気揚々と美女と一緒に引き上げてきたりはしません 笑)
繰り返しになるが、物語の展開はとてもわかりにくい。
実際の所、最後まで見ても、何故そうだったのかがよくわからなかった。
いつの間にかにそういう展開になっていた(苦笑)。
でも、ああ、しっかりと映画を観たなという満足感を与えられる。
もう一度観てみようかなという気にもさせられる。これはたいしたことだ。
原作者のル・カレも実際に諜報活動に従事していたとのこと。
そしてこの物語は実際にあった事件を下敷きにしているとのこと。リアルなはずだ。
観る前に、公式ホームページで、あらかじめ人間関係を把握しておいた方がよいかもしれませんよ。