1958年 フランス 91分
監督:ロジェ・ヴァディム
出演:ブリジッド・バルドー、 アリダ・バリ
バルドーの愛の逃避行。 ★★
スペインの片田舎を舞台に、バルドーが恋人を助けて必死に逃亡するという、まあ、サスペンスものか。
しかし、この映画、はっきり言ってバルドーを観るためだけのもの。
それ以上のものは何もありません(苦笑)。
伯爵夫人である叔母のアリダ・バリの家に遊びにやってきた純情娘のバルドー。
途中で知り合った貧しい青年に一目惚れするのだが、その青年は実は叔母の愛人だった。
なんという設定だ!
そしてこの青年が正当防衛で伯爵を殺してしまい、警察に追われる身に。
青年を助けようと、バルドーも車の無謀運転をしたりと活躍する・・・ということなのだが・・・。
タイトルの”月夜の宝石”とは、警察に追われるもの、という意味らしい。
別に、バルドーが颯爽とした女泥棒になって宝石を夜な夜な盗んで歩く、といったお洒落な映画ではないっ!
と怒り口調なるのは、この映画、まったく緊張感がない。
どこまでお気楽なんだか。
闘牛場にド素人のバルドーが私もやってみるといって入り込み、あれよあれよの大活躍をして拍手喝采を受けたり。
追い詰められた二人が「この激流を渡って逃げよう!」と必死になって河を渡るのだが、その河は波一つたっていないおだやかな流れ。
どこが激流?
追ってきた警察が、「この危険な流れを渡れるはずがない」というところの空々しさよ。ああ。
だいたいがバルドーの魅力はそのコケティッシュなところにあると思うのだが、この映画では妙に真面目に悲劇ぶっている。
彼女の魅力がまったく生かされていない。
つまらんぞ。
ヴァディム監督の力量ってこんなものだったのか・・・。
別れてしまうと、元奥さんを魅力的に撮る才覚もなくなってしまうのか。
でも、このあとジェーン・フォンダと結婚すると、彼女の魅力を引き出したあの怪作「バーバレラ」を撮ったりしているんだよねえ。