監督:クロード・ルルーシュ
出演:ジャック・デュトロン、 カトリーヌ・ドヌーヴ
男女の逃避行。 ★★☆
クロード・ルルーシュという監督は「男と女」のような、男女の機微を美しくとらえた傑作を作ったかと思ったら、こんな作品も作っていた。
これは、ふとしたことで知り合った男女の逃避行を描いている。
ふたりとも警察から追われる身だったのだ。
ギャングの父を持ったシモン(ジャック・デュトロン)は、自身も泥棒になっていた。
ある日、刑務所からの脱走に成功した彼は、叔父に提供された隠れ場所に潜む。
一方、高級コールガールのフランソワーズ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、大物人物との写真をネタに強請るという金儲けをしていた。
隠れ場所の農場で二人は出会う。
ジャック・デュトロンはシャブロア監督作などにも出ている。アラン・ドロンを普通の人っぽくした容貌で(笑)、なかなかに甘い雰囲気を持っている。
カトリーヌ・ドヌーヴはこの作品の時は30歳代半ば。
瓜実顔で臈長けた美しさなのだが、私の好みから言えばもう一つ(汗)。
警察に追われ、二人は一緒に逃避行を始める。
しかし、過去の記憶から男性不信になっているカトリーヌはシモンに心を開くことはしない。
二人はオートバイで逃げ、ボートで逃げる。
いつの間にか二人はラジオで放送される程の犯罪者となっている。まるでボニーとクライドである。
ついにはルアーブルから海を渡り、ケべックへ向かう。そしてシモンの知り合いがいるというニューヨークを目指す。
なんという逃避行だ。フランスの警察も甘いなあ。
それほどのアクションがあるわけではなく、犯罪ものと言うよりは、暗い過去を持った男女のロード・ムービーとなっている。
フランス映画らしい落ち着いた雰囲気があり、一部の方々の間での評価は高いようだ。
ただ、物語に大きなうねりがなく、主役二人のお互いへの気持ちの描き方も浅いように思えた。
私にはいささか退屈な作品だった。