1999年 スェーデン 95分
監督:エラ・レムハーゲン
ほのぼの少年もの。 ★★★☆
大体が子供を使った映画というのは、何となく狙いが見えていそうでそれほど好きではない。
しかし、好い映画というのは、やっぱりある。
この映画は、主人公の少年が生き生きとしていて、素直に応援したくなった。
8歳のツァツィキは売れないバンドのボーカルであるシングル・マザーのママと二人暮らし。
ママは19歳の時にギリシャ旅行で恋に落ちた相手とできた子供を生んで、一人で育ててきた。
ギリシャにいるはずのパパは、自分に子供がいることも知らない。
恋多きママと暮らしているせいか、ツァツィキは大人びてちゃっかりしたところがある。
それでいて、少年らしい幼さもある。
この案配がちょうど良くて、とても愛くるしい。
美人のママは開けっぴろげな性格。
子供の前でも平気で今の恋人といちゃいちゃする。
しかし、何よりもツァツィキを愛している。その一点だけは絶対に譲らないところが泣かせる。
苛めを受けたツァツィキのためなら学校長のところにも怒鳴り込んでいってぎゃふんと言わせるし、ツァツィキをないがしろにしようとした恋人を家から追い出したりもする。
それでいてツァツィキを苛めていた少年の心もつかんでしまう。大したものだ。
ツァツィキの宝物は未だ会ったこともないパパの写真。
写真のパパは、捕まえた大きなタコをぶら下げて赤銅色にたくましく焼けている。
ツァツィキの夢はギリシャに行ってそんなパパに会うこと。
タイトルにもあるおまわりさんは何かというと、ツァツィキと友達になった白バイ勤務の警察官。
おまわりさんはママに一目惚れして、なんとツァツィキの家の間借り人になってしまう。
このおまわりさんがとても初心な良い人。
ツァツィキは、僕よりママの方を好きになったでしょう?と、おまわりさんに拗ねたりもする。可愛い。
さて、念願がかなってママと二人でのギリシャ旅行。
しかし尋ね当てたパパはハンサムとはとても言い難いような中年のただの漁師だった。ありゃあ・・・。
二人は再会することも止めて逃げ出す。おやおや・・・。
この映画、実はここからが好い。
(以下、ネタバレ)
ツァツィキはママに内緒でこっそりとパパの姿を見に行く。そして何も明かさずに一緒にタコ漁に行く。
タコを捕まえようとしておぼれかけたツァツィキは、パパに助けられる。
ツァツィキが息子だと知らないパパは、おまえは勇敢な子だ。きっとおまえのパパはおまえのことを誇りに思うだろう、と言ってくれる。
泣ける。
ギリシャから戻ってきたママは、帰り道でスピード違反で白バイの警官に止められる。
近寄ってきてヘルメットを取った警官は・・・。
観ている人の予想通りの人物でした。
スェーデンでは大ヒットした映画だとのこと。
そりゃあ、この映画ならヒットするよ。