あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「トゥ・ザ・ワンダー」 (2012年)

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2012年 アメリカ 112分
監督;テレンス・マリック
出演;オルガ・キュリレンコ、 ベン・アフレック、 レイチェル・マクアダムス、 ハビエル・バルデム

崩れていく男女の愛。 ★★★

ひと組の男女の愛の有り様、その移り変わりを、ただただ静かに追う。
マリック監督といえば映像美の人といわれているらしいのだが、この作品も画面はとにかく美しい。
そして台詞は極端に少なく、映したものだけで伝えようとしてくる。

美しい奇跡の寺院といわれるモンサンミッシェルで、アメリカから来ていたニール(ベン・アフレック)とフランス人のシングル・マザーであるマリーナ(オルガ・キュリレンコ)は恋に落ちる。
そしてマリーナの連れ子とともに3人でアメリカでの生活が始まる。
愛さえあればどんなことでも大丈夫と思えていた二人の関係だったが、やがて少しずつすれ違いが生まれてくる。

先にも書いたが、台詞による説明はまったくない。
だから、登場人物たちの気持ちの変化も台詞からうかがい取ることはできない。
わずかな表情の変化や仕種がすべてをあらわすのだ。
揺れるカメラが美しい風景を切りとる。

マリーナが悩みを打ち明ける神父がクインターナ(ハビエル・バルデム)。
しかしこの神父も不安定に悩んでいるようなのだ。
登場人物たちは、みな、悩んでいる。
それも自分の心の揺らぎに悩んでいる。自分の心が捕らえきれないことに悩んでいる。
自分で自分の心がわからないのだ。

マリーナはフランスへ去り、ニールは幼なじみのジェーン(レイチェル・マクアダムス)と再会する。
すぐに親しくなる二人なのだが、それでもやはりニールはマリーナをフランスへ迎えに行き、ついに結婚をするのである。
それなのにニールとマリーナの気持ちはどうしようもなく揺れていくのである。

人の心はなんて頼りなげなのだろうと思ってしまう。
悪い事なんてひとつも起こっていないのに、それなのに自分の心は疲れ切って移ろっていってしまう。
カメラは固定されることなく、常に小さく揺れて動いている。
表情を追い、人の向こうに広がる風景を追う。とても不安定。

ニールはほとんど話さない。
彼がなにをどのように考えているのかの説明はほとんどされない。表情もほとんど変わらない演技をしている。
彼のマリーナとの関係、マリーナに対する思いの変化は、その身振りで示されるだけだ。
本当に映像がすべての映画なのだ。

後で読んだ解説によると、マリック監督は出演者たちに台本を渡さずに撮影したとのこと。
その場面場面の意味を出演者たちに感じ取らせて演技をさせていったのだろうか。
そして、2ヶ月間で撮ったフィルムを、なんと1年掛けて編集したとのこと。
その段階で映像が選び取られて物語が再構成されていったようだ。

それでなのかと思ったのがレイチェル・マクアダムスの役割。
彼女の登場場面はどうも中途半端で、重要な役割ではなかった。なぜ、あんな登場なのだろうと思っていた。
実は、彼女の登場場面は大部分がカットされたのだという。
それであんなに意味の少ない登場となったのか。へえ~。

結論などないに等しいような映画。
ただ愛を信じたふたりの心がたどる道筋をゆるやかにうねりながら追っていく。
その道筋が”奇跡”に向かっていたのかどうかは不明だが。

たしかに、監督の自己満足の映画ではないかという意見が聞こえてきそうな作品です。
しかし私は、もう一度ゆっくりと見直してみたいと思いました。