あきりんの映画生活

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「普通の人々」 (1980年)

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1980年 アメリカ 124分
監督:ロバート・レッドフォード
出演:ドナルド・サザーランド

★★★☆

これが ”普通の” 人々なのだろうかと、監督のシニカルな視点にやられた。
ロバート・レッドフォードの初監督作ちうことだが、はじめから大したものだったわけだ。

自殺未遂を起こしたことがあって、今も精神科のカウンでリングに通っているコンラッド
そんな息子のことが弁護士の父(ドナルド・サザーランド)は心配でたまらない。
しかし一方で母(メアリー・タイラー・ムーア)はコンラッドに冷たい。
実は、コンラッドの兄が事故死していたのだ。
その死の責任が自分にあると思うコンラッドは今も悪夢にさいなまれている。
兄を溺愛していた母は、なにもなかったかのようにして(コンラッドの自殺未遂事件も)、切り抜けようとしているようなのだ。

いつもは癖のある人物を演じるサザーランドが、この映画では実直な父親を演じている。
なんとか息子とわかり合いたいとするのだが、ぎくしゃくとした会話しかすることができない。
母は観ていて腹立たしくなるほどに、酷い。
コンラッドの存在を無視することで家庭を守ろうとしているようなのだ。酷い。

噛み合わない3人の人物描写がとても丁寧にされている。
やりきれないような家族の感情のやりとりなのだが、介入してくる精神科医や、コンラッドを理解しようとしてくれるガール・フレンドが、観ている者の気持ちを和らげてくれる。

ぎりぎりまで張りつめてしまった”家族の絆”はどうなるのか。
最後に父は妻に向かって決定的な思いを告げる。その言葉を聞いた妻も決定的な決断をする。
やりきれないような、それでいてひとつの局面が展開したほっとしたような気持ちを抱かせて映画は終わる。

この映画の登場人物はたしかに平凡な普通の人であった。
そんな彼らが誰にでも起こりうる”異常事態”にどのように向き合ったかが描かれていた。
登場人物たちが異常な人物だったらなにも感慨が起きないところだが、普通の人々だったからこそ、観ている側も身につまされる部分が大いにあるわけだ。

アカデミー賞では、作品賞、監督賞など4冠を取っていました。
徹底的に真面目な、好い作品でした。