2012年 アメリカ 165分
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ジェーミー・フォックス、 クリストフ・バルツ、 レオナルド・デカプリオ、 サミュエル・L・ジャクソン
タランティーノが撮った西部劇。 ★★★☆
タランティーノ監督はさすがだと思わされた1本。
アクションを前面に出したエンターテイメント作品でありながら、人種差別のあった時代をちゃんと描いている。
南北戦争前のアメリカ南部。奴隷制度が公然と存在している土地が舞台である。
奴隷は物と同じように売り買いされ、所有者の登録記録などもあったようだ。
我が国での遊女などは似たような感覚で扱われていたのだろうか。それにしても、この非人間的な扱われ方には唖然としてしまう。
さて、黒人奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、ドイツ人の歯科医で賞金稼ぎのシュルツ(クリストフ・バルツ)に身請けされる。
このシュルツがなかなかの人物で、ジャンゴを一人の人間として扱う。
そして二人は相棒として賞金稼ぎの旅をするようになる。
前半のこのあたりは、もう上手いとしかいいようがない展開だった。
奴隷としての人生しか歩んでこなかったジャンゴは、おそらく銃を手にすることはなかっただろう。そんなことは許されなかっただろう。
それなのに初めて手にした銃であんなに百発百中というのはあまりに出来すぎ。
でも、そうでないと観ている側がワクワクしないから、ねえ。
実はジャンゴには目的があった。
それは、奴隷市場で生き別れた妻ブルームヒルダを取りもどすこと。
彼女が買われていった極悪非道な農園主キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)のもとへ、二人は乗り込んでいく。
ディカプリオは嫌みな”悪役”農園主を、これでもかという尊大さで演じている。
まるであの「華麗なるギャツビー」から繊細さを取りのぞいて傲慢さをつけ加えたような雰囲気。
意外と似合っている。
それに輪をかけて嫌みで似合っていたのが、キャンディに仕える黒人執事のサミュエル・L・ジャクソン。
もう、本当に憎たらしい人物。
さすがにジャクソンは上手い。本気で憎たらしいと思ってしまう。
最後近く、ジャンゴが妻を取り戻せそうになったときに、キャンディはある要求をシュルツにする。
それは握手をすること。
ただそれだけのことなのだが、シュルツにはどうしてもそれは容認できない行為だったのだ。
これは映画を観ていると、シュルツの感情もよくわかる。
それだけキャンディが嫌~な人物だったということ。ディカプリオが上手~く演じていたということ。
そこからは派手な大円団となっていく。
こんな結末に持っていくのか、という感じがしないでもないが、そこがタランティーノ監督である所以なのだろう。
2時間半を超える長めの作品ですが、退屈する暇はありません。
エンタメ性も充分です。