あきりんの映画生活

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「ムーンライズ・キングダム」 (2012年)

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2012年 アメリカ 94分
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ブルース・ウィリス、 エドワード・ノートン、 ビル・マーレイ

コメディ・ファンタジー。 ★★★

この映画、少年少女の駆け落ち騒動。
こう書くと、「小さな恋のメロディ」を思い浮かべるかもしれない。
しかし、ロマンチックな雰囲気とはほど遠い映画。なんとも不可思議なコメディ・ファンタジーなのである。

12歳の少年サムは、ボーイスカウトのサマー・キャンプ場から脱走する。
サムはこの世界のどこにも分の居場所がないと感じていて、自分だけの居場所を作ろうとしたのだ。
同い年の少女スージーも親の目を盗んで家を飛び出す。
二人は1年前から文通で駆け落ちの計画を相談していたのだ。

主役はもちろん少年と少女なのだが、脇を固めるのはブルース・ウィリスエドワード・ノートンビル・マーレイフランシス・マクドーマンドティルダ・スウィントンといった豪華な顔ぶれ。
美しい色彩の画面なのだが、登場人物たちは皆ユニーク。
皆まじめなのだが、どこか世間常識からはちょっとずれていて、どこかおかしい。

舞台はニューイングランド沖の架空の島。
示し合わせていた草原で会った二人は、計画通りに秘密の場所“ムーンライズ・キングダム”を目指す。
一方、二人の失踪に気づいた大人たちは大慌てで捜索を開始する。
ちょうどそのときに島へ大ハリケーンが接近してくる。

サムは少年特有の理屈っぽさで世界を眺めているのだが、そこがまた微笑ましい子供らしさでもあるわけだ。
スージーは醒めた目で世界を眺めているような女の子で、大人になりかけた色っぽさ(?)も漂わせている。
この二人はとても印象的。好いなあ。

島はハリケーンに襲われ、大雨が降り出すわ、家はこわれるわ、大騒ぎ。
わざとな絵空事っぽい感じの物語が、妙にレトロっぽくて、逆に奥行きを感じさせたりもしている。
それにとにかく画面が美しい。まるで絵本を見ているような楽しさ、懐かしさがある。
途中でフランソワ・アルディの曲が流れたりして、このお洒落な感覚はフランス映画のようでもある。

二人を探す警官に扮したブルース・ウィリスが好演。ちょっと泣かせる。
おたおたと頼りないボーイスカウト団長のエドワード・ノートンも、まるで大人になりきれていない子供のよう。

最後に二人は大人たちによって ”キングダム” から連れ戻されてしまうのだが、それでも心が温かくなるようなエンディング。
ウェス・アンダーソン監督作品は初めて観たと思うのだが、どこかおとぎ話のような作風が好かった。