2013年 アメリカ 102分
監督:ダニー・ボイル
出演:ジェームズ・マカヴォイ、 ロザリオ・ドーソン、 ヴァンサン・カッセル
錯綜サスペンス。 ★★★☆
これはなかなかに物語が錯綜するサスペンス。
記憶喪失なのか、嘘なのか、それとも錯覚なのか、幻想なのか。
そして誰が騙しているのか、誰が騙されているのか。
フランク(ヴァンサン・カッセル)をリーダーとした4人のギャングがゴヤの名画をオークション会場から強奪する。
実は競売人のサイモン(ジェームズ・マカヴォイ)も共犯だったのだが、なぜか (なぜか、なのです) 彼はその絵をひとりでどこかへ隠してしまった。
そのうえ、そのサイモンはフランクに殴られた衝撃で絵を隠した場所を忘れてしまう。
あれ? どうする?
記憶喪失はなぜ起こるのか?
頭部に強い衝撃を受けたときにも起こるとされているが、人が辛い記憶を忘れたいと潜在意識で望んでいるときにも起こるのかもしれない。
そして、もうひとつ、記憶喪失になるのは・・・。
なんとか絵の隠し場所をつきとめたいフランクは、催眠療法士のエリザベス(ロザリオ・ドーソン)にサイモンの治療を依頼する。
ところが、このエリザベスも一筋縄ではいかないようで、なにか曰くありげな女だったのだ。
そして、いつのまにか仲間の一員になってしまったエリザベスがサイモンの催眠療法を始める。
このエリザベスのおこなう催眠療法がとても効いてくる。
画面に映し出されているのは現実なのか、それともサイモンが夢に見ている世界なのか、混沌とした状態で差し出されてくる。
”夢” だとすれば、なぜ、こんな夢を見る?
この夢は何を暗示している?
その上に記憶喪失なのだから、今の行動には、自分でも覚えていない過去が関与していたのかもしれないのだよ。
こうしてボイル監督は時間軸まで錯綜させてくる。
う~ん、やられるなあ。
ロザリオ・ドーソンの体当たり演技も素晴らしかった。
(あの場面は割と重要なキーになっていたのだが、劇場公開時にはぼかしが入っていたらしい。ぼかされてはあの場面の意味は不明だったろうに。 苦笑)
(以下、ネタバレ気味)
眠っている暇はないぞ。
エリザベスは何か隠している? 彼女は何を知っている?
騙し、騙され、最後に笑ったのは誰?
さて、あなたは記憶喪失になりたいですか?