あきりんの映画生活

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「解夏」 (2003年)

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2003年 日本 113分
監督:磯村一路
出演:大沢たかお、 石田ゆり子

難病もの。 ★★

(かなり貶しています。この映画が好きだった方はご注意ください。)

原作はシンガー・ソング・ライターのさだまさし
ベーチェット病という難病で視力を次第に失っていく運命の主人公・隆之(大沢たかお)。
その運命を知って彼を支えようとする恋人・陽子(石田ゆり子)。
善意の人ばかりが長崎の街を舞台に心を通わせ合う。

設定からもわかるように、向き合った人にどこまでも甘く優しい映画。
毒どころか苦みすらそこにはない。
だから、悲しい状況での優しい人々の心の触れあいというのが映画の狙いなのだろうが、気の抜けたサイダーのように深みがなかった。

石田ゆり子は好きな女優さん。
でも、この映画のヒロインの行動はあまりにもステロタイプだった。
こういう状況になったらこう言うのだろうな、こんな事をするのだろうな、と誰もが思うことしか起こらない。

主人公の行動も、自分の悲劇的な運命に拗ねてみたり、甘えてみたりで、リアリティに乏しかった。
おそらくいろいろなことを調べて、原作も脚本も書いたのだろうが、ふつうの人の想像力を越えてはいないように感じた。

唯一よかったのは二人が出会う老人・松村達夫。
お寺で会った二人に”解夏”という言葉を教えるのだが、その同情でもなく、かといって突きはなすでもない共感の態度はよかった。

難病ものは難しい。
実際にその病で苦しんでいる方々がいらっしゃるのだから。
制作する以上は、なぜこの”病”を題材にして作品をつくったのかということが問われるだろう。
”病”を単なる素材として使うことは許されないだろうと思う。