2009年 アメリカ 115分
監督:リチャード・ケリー
出演:キャメロン・ディアズ、 ジェームス・マースデン
不条理ドラマ? ★★★☆
物語の導入部は映画の紹介記事などで知っていた。
妙な、けれども面白い設定だなあと思っていた。
その導入部からどんな物語に展開させるのだろうと思って、大いに興味を持っていた。
ルイス夫妻宅に四角い箱が届けられる。その箱の中には、赤いボタンが付いた奇妙な木製の装置が入っていた。
夕方、スチュワードと名乗る男が訪ねてきて、届けられた箱の説明をルイス夫妻にする。
赤いボタンを押せば2つのことが起きます。
ひとつは、どこかで見知らぬ誰かが死にます。
そしてもうひとつは、赤いボタンを押した夫妻は現金100万ドルがもらえます。
ボタンを押すか押さないか、決断の期限は24時間です。
一体、誰がこんなことを提案しているのだろうか?
その人にはこの提案をして(100万ドルも支出をして)見合う何かがあるのだろうか?
普通に考えれば、誰かのたちの悪い冗談だと思うよねえ。そりゃそうだ。
でも、もし本当に100万ドルがもらえるなら・・・。本当にもらえるかもしれないなら・・・。
見知らぬ人なんて、どうせいつだって大勢死んでいるのだし、私に関係のない人が死んだってどうせ私の人生には関係ないのだし・・・。
誰だってこんなふうにも考えることはあり得るだろう。
こんな心理葛藤は、もし自分にこの問題が突きつけられたら、と考えてしまうわけだ。映画に引きこまれるわけだ。
妻を演じるキャメロン・ディアスは、いつもの軽いコメディとは真逆のシリアス演技。
これがなかなかに好い。同じ教師役でも「バッド・ティーチャー」とは大違い。役者ってすごいものだ。
物語は途中から、あれあれ!という展開になっていく。
そういうからくりでなんとか物語を説明しようとしたわけね。
薄気味悪い生徒や、窓の外の不審人物や、不気味だった伏線もそのために用意していた訳か。
正直なところ、それって、どうよ? という気持ちにもなる。それ、ちょっと反則気味なんじゃないの?
しかし、それを差し引いても映画が突きつけてくるものは面白い。
事態の”無理矢理説明的な部分”にちょっと目をつぶれば、心理ドラマとしての部分は面白い。
赤いボタンを押すかどうか、という選択は、やがてルイス夫妻に”究極の選択”を迫るようになってくる。
えっ、どちらかを選べと言われたって! そんな選択・・・!
ネタバレになるので詳しくは書けないが、そこがまた新たな赤いボタンの物語につながっていくところに唸った。
なるほど!
この監督はあの奇妙なウサギの「ドニー・ダーコ」も撮っていた。なるほどね。