あきりんの映画生活

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「ジャッキー・コーガン」 (2012年)

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2012年 アメリカ 97分
監督:アンドリュー・ドミニク
出演:ブラッド・ピット

クールな殺し屋もの。 ★★★

ブラッド・ピット扮する殺し屋の名前が”ジャッキー・コーガン”。
原題は”彼らを優しく殺すこと”、あるいは単に”優しい殺人”とでもいったところか。
殺す相手が懇願の声をあげることもできないほどに素早く殺してやることが”優しい殺人”なのだと、”優しい殺人者”のジャッキーは考えているわけだ。

しかし、映画がはじまってもなかなかジャッキーは登場してこない。
賭博場を襲って現金強奪を画策する男と、その男が雇った二人のチンピラの様子が延々と続く。
この二人のチンピラが、またどうしようもない中途半端な小悪党。
そのうちの一人は高価な犬を盗んできては転売して儲け、その金で麻薬の元締めになろうと画策しているような、どうしようもない麻薬中毒男。

チンピラ二人のぐだぐだとしたおしゃべりが続く。
まるでこれは、そう、誰もがタランティーノの真似だと思うよなあ。
中ほどでは、ジャッキーがわざわざニューヨークから呼んだ殺し屋も登場する。
この殺し屋が、また延々と与太話をする。ますますタランティーノ風じゃないの。

しかし、彼らのこの与太話はなかなかに面白い。
与太話にリアリティがある、というのは変な感想だが、まあ、そんな感じ。

というようなこともああって、映画の筋書きはいたって平凡。
賭場を襲撃したチンピラ2人とその黒幕を始末するために、凄腕殺し屋のジャッキー・コーガンが差し向けられ、彼が犯人たちを抹殺して報酬を得る。
物語としては、ただそれだけ。捻りも何もない(汗)。

ニューヨークから呼んだ殺し屋なんて、アル中でまったく役に立たないままに退場してしまう。
単に与太話をするためだけに登場してきたようなものだった(ふたたび汗)。

映画の途中では、オバマ大統領がアメリカを良い国にするためにと熱い演説をしているTV映像が何度も流れる。
そんな政治理念は絵空事だとでも言うような、皮肉に満ちた映画に思えてくる。

単純な筋立ての映画だったのだが、その割に退屈しなかったのは不思議。
見せ方が良かったのだろうと思える。
しかし、あまりに作風がタランティーノに似たままでは、この監督、この次はないのではないだろうか。