あきりんの映画生活

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「ファミリー・ツリー」 (2011年)

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2011年 アメリカ 115分
監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ジョージ・クルーニー、 シェイリーン・ウッドリー

家族ドラマ。 ★★★

冒頭の主人公マット(ジョージ・クルーニー)の独白が面白い。
ハワイに住んでいるからって楽園という訳じゃないんだぞ。昨日から私は意識不明の妻の介護でくたくただ・・・。

ハワイを舞台にした家族ドラマ。
ある日、マットの妻はモーター・ボート事故で意識不明になってしまう。回復の見込みはないと医師には告げられてしまう。
う~、どうすればいいんだ?
これまで家庭をかえりみなかったマットは、反抗的な10歳と17歳の娘、スコッティとアレックス(シェイリーン・ウッドリー)にどう向き合えばいいのか、途方に暮れてしまう。

仕事一筋だった父親についてはよく判る。
家族に不自由のない生活をさせるためにというお題目の下に、自分は仕事のことしか考えてこなかったわけだ。よく判る。
俺は仕事をするからと、育児も妻にまかせきりで関わってこなかったのだ。よく判る。
それだから、今更と、娘たちが父親に反抗的になるのもよく判る。
でも、二人の娘の態度は、あまりにも酷いんではないか? 父は悲しいぞ。

真面目人間のマットが、それこそ真面目に二人の娘に接しようと頑張る姿がいじらしくもあり、すこし可笑しくもある。応援したくなる。
母親と不仲になっていたアレックスに態度をあらためさせようとすると・・・。
アレックスは、パパは何にも知らないんだから。ママは浮気していたのよ、と衝撃の事実を知らせる。
えっ? そんな、まさか!

風景はのどかなハワイで、流れる音楽もハワイアン風。
それが悲劇的な家族の状況をやわらかく包んでいて、観ている者の気持ちもそれほど辛くはならずにすんでいるようだ。
これで舞台がNYだったりしたら、物語も主人公もぐっと絶望的雰囲気になっていたのではないだろうか。

浮気をしていたと知らされても、当の妻は意識不明。
問い詰めることもできない。弁解を聞くこともできない・・・。
マットの複雑な心情も判るなあ。

妻の浮気相手をいっしょに探したりしている内に、反抗的だった2人の娘も次第に父の気持ちにより添ってくる。
特に17歳の姉アレックスがよかった。
そのアレックスを演じたシェイリーン・ウッドリーがなかなか可愛いなあと思ってみていたのだが、なんと先日観た「ダイバージェント」のヒロインだった。
3年経ってすっかり大人になっていたんだね(笑)。

彼女のボーイ・フレンドがなぜかマットの家族と行動を共にする。
彼も始めは何と軽薄な奴だと腹立たしかったが、そのうちに彼は彼なりに好いやつなんだなと思えてくる。

さて、妻の浮気相手をつきとめることができたら、どうすればいい?
彼にも家族がいるとしたら、その家族はどうなる?
そこにマット一族が所有していた広大なハワイの土地売買問題も絡んできたりする。

最初は絶望的な家族関係だったが、それがゆっくりと再生していく。
最後はマットと二人の娘の家族3人が一緒にソファでくつろぎながらTVを観ている場面。
1枚の毛布を3人で掛け合っているところが、家族の絆がつながったことの象徴のように思えた。
好いラスト場面だった。