あきりんの映画生活

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「殺人調書 Q&A」 (1990年)

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1990年 アメリカ 135分
監督:シドニー・ルメット
出演:ティモシー・ハットン、 ニック・ノルティ、 アーマンド・アサンテ

悪徳刑事サスペンス。 ★★★☆

さすがにシドニー・ルメット監督と思わせる重厚感があるサスペンスだった。
タイトルにある「Q&A」とは、殺人事件などでの尋問調書のこと。
あるベテラン刑事が起こした犯人射殺をめぐるサスペンスで、警察内部ものである。

新米の検事補アル(ティモシー・ハットン)は、ベテラン刑事ブレナン(ニック・ノルティ)の麻薬売人射殺事件を担当することになる。
普通の正当防衛として処理されるはずだったのだが、目撃者の証言が意図的な殺人を示唆し始めた。
あれ?こんな筈ではなかったのに・・・。

実は、冒頭の事件描写で観ている者はブレナンが明らかに殺人をしていることを知っている。
なぜ、ブレナンはわざわざ殺人をした?
調査をしているアルはそのことに気づけるのか? 殺人の理由を明らかにできるのか?

ブレナン役のニック・ノルティの粗野でふてぶてしいいところが、なんとも迫力。
新米検事補のアルの取り調べなんて、まるで相手にしていない。
おいおい、俺はベテランなんだぜ。世の中、そんなきれい事ばかりで一般市民を守ることができるとでも思っているのかよ。

それにしても、ブレナンの悪役ぶりは半端ではない。
自分にとって不利な目撃者の証言を封じるためには、脅しだろうが、暴力だろうが、委細かまわずにがんがんとやってしまう。
調書を取っている警察官まで、ブレナンに殺されるかと思った、と震え上がるほど。

この映画、ルメット監督のことだから、社会の背後にあるマイノリティの現実にも踏み込んでいる。
アルの調査を手伝う2人の刑事は黒人とプエルトルルコ人である。
それに、アルには今でも思いを断ち切れない恋人に去られたことがあるのだが、その原因はアルの人種差別意識だった。
その恋人は今は麻薬ディーラー(アーマンド・アサンテ)の愛人になっている。どうしたらいいんだ?

ブレナンの悪事の背後に横たわっている警察組織全体の思惑。
アルが抱える人間としての悩み、葛藤。
それらが絡みあって、重層的な物語の展開となっている。

警察内部の腐敗を描いた作品では「LAコンフィデンシャル」という傑作があったが、これもがっつりとした傑作です。お勧めです。。
たしかツ○ヤの良品発掘のコーナーにも置いてあったような気が。