監督:ジョン・カーペンター
カルト的SF映画。 ★★
カルト映画と呼ばれるものがある。
熱狂的な小グループに指示される映画を指すとされ、たとえばアレハンドロ・ホドロフスキーやデヴィッド・リンチの作る映画が含まれるようだ。
この映画もカルトSF映画とされ、のちの「エイリアン」などに影響を及ぼしたとも言われている。
だから、カルト映画とされるものは好き嫌いが極端に分かれることにもなる。
で、残念ながら、私はこの映画にはのりきれなかった(涙)。
宇宙船ダーク・スター号は、宇宙空間の開発のために、不安定な星を爆破して回っている。
狭い機内で4人の乗組員が、ごちゃごちゃと会話をしながら宇宙を飛びまわっている。
ま、正直、退屈な任務なのだ。
乗組員の中には引きこもりも居るし、おしゃべりも居る。
それに事故で死んでしまって脳だけが生きている船長の冷凍死体もある。
40年以上前のSF映画だから、宇宙船などはミニチュアで撮影されている。
思わず微笑みたくなるようなチープさがあるのだが、当世の特殊撮影になれてしまった目には、かえって面白く見える。
だいたいがこの映画は、まだ学生だったカーペンターの自主制作作品なのだ。
アイデアは確かに面白い。
機内にはペットとしてボール状のエイリアンが飼われている。
ただのビーチ・ボールに色を塗り、玩具の手足をつけたものを、ほら、これがエイリアンだと差し出している。
乗組員の一人は、このエイリアンと追いかけごっこをして、エレベーターシャフト内での冒険活劇もしてしまう。
星を爆破するための爆弾が搭載されているのだが、この爆弾には人工知能が組み込まれている。
哲学的な台詞を残して投下爆発にむかったりする。
やがて故障で宇宙船から外れなくなった爆弾が、そのままカウントダウンをはじめてしまう。
なんとか爆弾に爆発を思いとどまらせなくては・・・。
討論をふっかけて、爆弾に自己存在の認識をさせてなんとかカウントダウンを止めさせようとする乗組員・・・。
爆弾と哲学論争をするという荒唐無稽さ・・・。
というわけで、”普通の映画”ではない。
低予算でなんとか映画を撮りたい、という情熱とアイデアの賜物の映画。
それをどの程度勘案して鑑賞するかで評価も変わってくるのでしょう。
(最後のネタバレ)
結局は爆発してしまった宇宙船。
放り出された乗組員は、壊れた機体に乗って宇宙サーフィンをして、燃えさかる星に突っ込んでいくのでした。