あきりんの映画生活

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「ブリッジ・オブ・スパイ」 (2015年)

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2015年 アメリカ 142分
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:トム・ハンクス、 マーク・ライアンス、 エイミー・ライアン

冷戦時代のスパイ交換。 ★★★

スピルバーグトム・ハンクスが手を組み、脚本はあのコーエン兄弟という布陣。
142分という長尺だが、内容的には充実している。

時代は東西陣営が冷戦をおこなっていた1957年。
FBIはソ連のスパイ、アベル(マーク・ライアンス)を逮捕する。
弁護を引き受けた弁護士ドノバン(トム・ハンクス)は、世間からの批判を受けながらもアベルの死刑判決から禁固刑へと減刑させる。

このアベルというスパイがどれほどのすご腕かは判らなかったのだが(大物スパイだったようだ)、外見はただのしょぼくれた初老の人物。
絵を描くのが趣味で、鏡に映った自分を描いたりしている。
本物のスパイというのは、おそらくこうした地味な、目立たない存在でないといけないのだろうな。
マーク・ライアンスが実に好い味を出していた。

一方のドノバンは、人の命に対する自分の倫理観のようなものを、政治的判断よりも優先させる人物。
奥さん(エイミー・ライアン)から、そんなスパイの弁護なんか止めたら、と言われても、全力を尽くす。
トム・ハンクスも渋い。

やがてあの有名なアメリカの秘密偵察機U-2撃墜事件が起きる。
なんとしてでもU-2のパイロットを奪還したいアメリカは、アベルとのスパイ交換を計画する。
そしてその交渉役に民間人であるドノバンを指名する。
ベルリンに乗り込んだドノバンの交渉は、果たして上手くいくのか。

事実に基づいたドラマなので、その結末はみんな知っているわけだ。
しかし、冷戦下のベルリンの緊張感を描いて映画は魅せてくれる。

原題を直訳すると、”スパイたちの橋”となる。
映画で実際にスパイ交換がおこなわれたのはグリーニッケ橋の上。
ここは西ベルリンと東ドイツの境界にあったとのことで、東西陣営の駆け引きの場として使われていたようだ。
ただ映画の内容からすれば、ドノバンを”橋”と見立ててもいたようにも取れ、そうすると邦訳は”スパイたちをつなぐもの”ともなるのだろうか。

派手さはなく、どちらかといえば地味な感じもする作品ですが、見応えのある骨太ドラマでした。
マーク・ライアンスはいろいろな映画祭での助演男優賞を取っています。