2015年 アメリカ 141分
監督:リドリー・スコット
出演:マット・デイモン、 ジェシカ・ジャスティン、 ショーン・ビーン
SFサバイバルもの。 ★★★☆
火星にたったひとりで取り残されてしまったら、どうする?
しかも自分が生き延びていることを他のだれも知らない。つまり救援は期待できない・・・。
普通は絶望するしかない。
しかし、この主人公は違う。知恵を振り絞って生き延びようとする。
いってみれば、火星でのロビンソン・クルーソー物語。
火星での有人探査に従事していたマーク(マット・デイモン)たちは激しい砂嵐に襲われる。
マークが行方不明となり、生存を確認する信号も途絶えてしまう。
彼が死亡したと判断した他のクルーは、探査を中止して火星から離脱して地球への帰還の途につく。
その知らせを受けたNASAも彼の死亡を全世界に発表した。
しかし、マークは生きていた・・・。
ここからのマークのサバイバル術がすごい。
空気と水は作ることができる。しかし、基地に貯蔵されている食料はいずれなくなってしまう。どうする?
実はマークは植物学者だった。
で、排泄物を利用して堆肥を作り、砂漠の土を土壌に変えて、種芋を蒔く。
やがて芋は芽吹き、食料を自給するにいたる。すばらしい。
この主人公はとにかく前向き。
自分が死んだときのためにセルフ・ビデオ撮影などもするのだが、なんだか火星でのサバイバル生活を工夫してやっていくのを楽しんでいるような雰囲気すらある。
次は、なんとか地球に自分が生きていることを知らさなければならないぞ。どうする?
リドリー・スコットの作る映像は見事。
主人公が生活する火星の描写は、本当に火星でロケをしてきたのではないかと思わせるほど(まさかね 笑)
マット・デイモンの泣き言を言わないキャラの演技も自然で、完全に応援視線で観ていられる。
もちろん、いろいろなアクシデントもマークを襲う。
あちゃあ、こんなことになっちゃったよ・・・。でも、負けないぞ。
終盤は、まさかというような発想での救出劇となる。
シートをかぶせただけのポッドで、本当に宇宙空間にでて大丈夫なの?
うわあ、無重力空間でちょっとでも慣性の方向がずれたら、絶望的ではないの?
2時間越えの長さだが、それはまったく気にならない。
しかし、これだけの物語をシリアスに撮らずに、どちらかといえばユーモラスな雰囲気で仕上げたところには感心した。
マット・デイモン、よくぞ無事に地球へ帰還した。
次は、もう一度すご腕諜報員に戻ってくれ。
まあ、それは冗談として、「ゼロ・グラビティ」のサンドラ・ブロックといい、この映画の主人公といい、宇宙での遭難者は絶対の信念がいるのだな。