あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「フィッシュストーリー」 (2009年)

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2009年 日本 112分
監督:中村義洋
出演:伊藤淳史、 森山未來、 多部未華子

ん、ホラ話? ★★★☆

原作は、映画化される小説家としては東野圭吾と並んで引っ張りだこの伊坂幸太郎
彼の小説の魅力は、読者をいろいろと引っ張り回しておいて、最後に、ああ、そうだったのか、なるほど、と唸らせるところ。
この物語もそのやり口で楽しませてくれる。

冒頭から、なんだ、こりゃ?と呆気にとられる。
誰もいなくなってゴミが散乱した商店街を胃癌末期の石丸謙二郎がさまよっている。
空にはあと5時間で地球に衝突するはずの彗星が映っている。
これは世界終末もののSFだったのか。

映画は時間軸が頻繁に行き来しながらすすむ。
はじめのうちはやや戸惑うが、そのうちに慣れてくる(苦笑)。

2012年の今では、地球滅亡寸前なのに、40年近く前に発売されたロック「フィッシュスートーリー」のレコードを聴いている若者たちや、10年前から地球が滅びることは知っていたんだと自棄になっている石丸がいる。

1982年、その「フィッシュストーリー」にまつわる呪い話の縁で、暴漢に襲われている女性を助けた駄目な軟弱男、濱田岳がいた。
2009年には、シージャックされたフェリーに乗り合わせた女子高生、多部未華子を助けた”正義の味方”森山未來がいた。
1975年には、その「フィッシュストーリー」のレコードを吹き込んだ伊藤淳志らのロック・バンドがあった。

と、こんな風に取り止めもなく書いてくると、一体この物語はどうなっているんだ?と思う。
しかし、見事につながるのである。
売れなかった「フィッシュストーリー」の曲が、なんと地球を滅亡から救うのである。

彗星が5時間後には地球に衝突するなんて状況は奇想天外。
しかし、”フィッシュストーリー”の正しい和訳は”魚の物語”ではなくて、”ホラ話”なのである。
この物語はすべてホラ話だよ、と言っているわけだ。

言ってみればこれは「風が吹けば桶屋が儲かる」式の映画。
同じ「風が吹けば・・・」の映画としては「バタフライ・エフェクト」があった。
ただあちらはタイムトラベルをして過去を変えると現在も変わってしまうというところがミソだった。

この映画のミソは、一見ばらばらだったいろいろな年代の事柄が、最後にカタンカタンときれいにつながるところ。
おお! そうだったのか!
これにはやられた。お見事。

特に、”正義の味方”だった森山未來
そうか、君にはそういう生い立ちがあったのか。唸ってしまったよ。
そして居眠りをしてしまう理数系の女子高生の多部未華子
そうか、君はあの後はそういう人生を歩んだのだったか。唸ってしまったよ。

原作は軽く読めてしまう中編小説。
それをここまで話を膨らませて、映画として見事に仕上げたのは立派としか言いようがない。
楽しませてもらいました。