あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「六つの心」 (2006年)

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2006年 フランス 125分
監督:アラン・レネ
出演:サビーヌ・アゼマ

6人の人間模様。 ★★☆

30歳代で「夜と霧」や「去年、マリエンバートで」、「二十四時間の情事」を撮ったアラン・レネ監督。
この作品は84歳の時の作品。
齢を重ねてどのような映画を撮るようになっていたのか?

雪が降り続けるパリの街に暮らす6人の男女が描かれる。
6人は恋人同士であったり、兄妹であったり、仕事の同僚だったりする。
その6人の人生の一コマは、かすかにすれ違い合ったりする。

劇場未公開だったとのことなので、ざっと内容を紹介すると・・・。

不動産屋で働くティエリーは、同僚で敬虔なクリスチャンのシャーロットから宗教番組のビデオを借りる。
妹が外出したあとのビデオを観始めたティエリーだったが、そこに映っていたのは・・・。

そのシャーロットは、夜は寝たきり老人の介護ヘルパーのような仕事もしている。
癇癪持ちでヘルパーが居着かない老人の息子(といっても初老だが)は、困りはてている。
その息子はカクテル・バーのバーテンなのだが、そこへ毎日のようにやってくる馴染みの男がいる。

馴染みの男は失業中なのだが、職探しもせずに我が儘を言って、同棲中の彼女との仲が次第にこじれていく。
彼女はなんとか生活を立て直そうと、ティエリーの店で新しいアパートを探し回っていたのだが。

ついに彼女から部屋を追い出された失業男は、出会い系サイトの広告でティエリーの妹と知り合うが・・・。
この妹も、付き合ってくれる相手を捜して毎夜酒場へ行っていたのだった。

こんな風に、少しだけ交差する6人の人生。
彼らは皆それぞれに心の奥にやりきれないものを抱えている。
カメラはそれを他人事を写すように、少し引いた視線で淡々と捉える。

さすがにフランス映画の巨匠と思わせるエスプリの効いた作品。
登場人物たちに対する愛情と、その一方での皮肉な視点が絡まり合っている。

人々の心にも、いつまでも止まない雪が降り続けているようでした。