1972年 フランス 103分
監督:ジョゼフ・ロージー
出演:アラン・ドロン、 ロミー・シュナイダー、 リチャード・バートン
トロツキー暗殺事件。 ★★
さて、あまり評判はよくないアラン・ドロン映画です(汗)。
トロツキーといえばロシア革命の立役者。
私たちの学生時代(学生運動が華やかりし頃)には、トロッキストなる言葉もよく聞かれたものだった。
そのトロツキーは革命の成功後にはスターリンに追放され、いつ粛清されるかと逃亡生活を送っていた。
トロツキー(リチャード・バートン)暗殺のためにメキシコにまでやって来たのがフランク(アラン・ドロン)。
オールバックに白い三つ揃いスーツ姿。出で立ちはあくまでも格好いい。
う~ん、ナルシストの暗殺者だなあ(笑)。
トロツキーが厳重武装した信奉者に守られて暮らしている屋敷にどうやって入り込む?
ドロンのことなので、トロツキーの秘書(ロミー・シュナイダー)と好い仲になって、次第にトロツキーの懐に入り込もうという算段。
しかし、どうにも緊張感が乏しい。
暗殺者の苦悩とか葛藤とかが描かれることはなく、フランクが何を考えていたのか、まったくうかがことが出来ない。
途中で闘牛見物の長いシーンがある。実際の闘牛というのはずいぶんと残酷なものだと思った。
倒されていく牛をトロツキーに見立てた?
映画は史実に基づいており、トロツキーはフランクにピッケルで頭を殴打されて死亡する。
フランクは直ちに捕まるのだが、この暗殺場面、そしてその後の逮捕場面のアラン・ドロンがとても格好悪い。
泣き叫び、あまりにも卑小な人間的な弱さをさらけ出してみせる。
これを、暗殺者の人間性をあらわしたドロンの名演技とみるかどうか。
どちらにしてもとても格好は悪い。
だから、あくまでもドロンの格好良さを求める人にはお勧めできない映画です。
映画はここで終わっていくのだが、史実では、その後フランクはメキシコで20年の刑に服した。
そしてソ連に帰国し、なんとレーニン勲章を受けたとのこと。へえ~。
なお、監督のジョゼフ・ロージーは、モニカ・ヴィッティ主役のトンデモ・スパイ映画「唇からナイフ」を撮った人。
あの映画は好きだったなあ。